刈谷浴場


(この建物は凄い!びっくりしちゃうよなあ、もう)

aqua.gif (191 バイト) 場所 JR刈谷駅 徒歩12分

こんなところにこんな銭湯があったなんて!大驚愕。

さて、仕事の帰りは銭湯に寄ってみよう。刈谷駅から徒歩で12分ほど、どうもかなり以前から栄えていたような商店街をまっすぐ抜ける。今やなにか寂れたムード漂う。刈谷も工業都市だから、街が沈下してる訳でもないんだろうな…要するに車社会化のために、商業地域が駅近くから大きな道路沿いに移動しているのだろう。


(刈谷の古い商店街)

次第に細くなる通りをまっすぐ行くと、唐突に刈谷浴場出現。何これ?銭湯?すげー。完全宮殿建築?かなり古い建物だが、神殿風の古い建物。正面にタイル貼りの柱がいくつも。入り口上部に「刈谷浴場」という屋号と、温泉マークがタイルで書かれている。しかもこの入り口は…ウエスタン酒場(笑)のドア?上と下が開いてるタイプの戸。

煙突を観察に裏に回る。フレームは残っているんだが、中身がないぞ…あった、あった、中身は新しくて、逆に煙突の丈が短くなっているっす。これもまた珍しいっす。

何はともあれ、中に入るか。下足入れは名古屋タイプの穴が開いてる金属の扉のもの。鍵は「SEKIYA SEISAKU」と書かれているっす。当然番台形式だが低い…っつーかフロントっぽい雰囲気。さて料金は…え、300円?名古屋じゃ380円だったんだが、刈谷は300円か。まあ、スオミの湯が330円だもんなあ。

中はビル銭湯だが…なんとなく宮殿調の柱。天井はそんなには高くないっす。脱衣場ロッカーがちゃんとあったのは助かるが、このロッカーがまたすごい。木のロッカーで全部温泉マークが書かれているっす。鍵はやはり「SEKIYA SEISAKU」と書かれているっす。なぜか新型マッサージ機が置かれている。椅子が2,3個。浴室への入り口がタイルで、そこに流し、飲料水飲み口があるのは名古屋風。

それにしても…一応コンクリートらしき造りなんだけど、このコンクリートがボロボロになってるっす。配線も一部剥き出し。すごいなこりゃまた。広告も古いし。アナログ体重計。床は関西風にゴザマットが敷かれているっす。

とりあえず浴室へ。こりゃまたたまげたなあ…まさしく神殿調銭湯。柱は丸く なっており、一番奥がこれまた神殿調の壁。その柱の間にモザイクタイルの絵、山の風景のようっす。こりゃ絶対既製品とかじゃないすよ。天井はそこそこあって、真ん中に湯気抜き。室内湯気がこもっているけど、これがまたミステリアスな雰囲気をかもし出すなあ。

桶を持って…これまた見たこと無い小型の黄色桶、良く見ると「タマゴシャンプー」!?牛乳石鹸や花王はあるけど、タマゴははじめてだなあ。カランは片側に7個のみ。しかも湯が押すヤツでなくってハンドルだぞ…ハンドルを捻ると、やや弱いながら湯がちょぼちょぼ。一応シャワーもついているが、効くかなあ…相当弱いシャワーが出てきて、やはり想像通り水。が、しばらく出しっぱなしにしてると、なんとか暖かくなってくるっす。カラン回りのタイルも既にかなりボロボロ、細かいタイルっす。

浴槽へ。細かいタイルを利用し、カーブが多用されている優雅な浴槽っす。カランの数のわりに浴槽面積は大きいっす。男女のセンターに沿って浴槽、あと窓際に一槽。

まずは主浴槽、段になっている奥の深風呂で「ふ〜」と一息。温度は43度くらいの白湯、やっぱり銭湯はこのくらいなきゃねえ。最奥部はになっていて、その上にライオン口、さらにその上に壷持ち裸婦像。昔はこのてっぺんから湯があふれていたんだろうか?いずれにしても神殿風、なぜか妙に落ち 着く。ボロ銭なんだが…隣が区分けされてて、ややぬるめになっている模様。さらにその手前が浅風呂なんだが…レンガ?で無理やり2槽に区切っており、片方が30度くらいのぬる湯になっているっす。

こんな銭湯だけど、客はそこそこ入ってきてて、5,6人状態。例によってもんもんのお方も…筋彫りだけど。せわしなく浴槽の湯で身体を洗っているっす。そうか、湯量が乏しいときはこうすりゃ良かったんだよなあ、考えてみれば。でも、その筋のお方って、妙に行動がせわしない人いるよね。お次はデンキ風呂。こんな銭湯でもデンキ風呂に入れるとはなあ…弱めのデンキなんで、じっくりと入る。

上がりは名古屋牛乳ブランドのビン入りリンゴジュース。あ”〜、うまか〜。ほかにビン牛乳、コーヒーなんかもあるっす。番台のお姉さんに「いつ頃の建物ですか?」と聞くと、「そうねえ、もともとは大正12年だけど、昭和27年に一回改装したかしら…」うむ〜、昭和27年っつーのは銭湯界では一つのキーワードだな。戦後復興から高度成長への移行期、銭湯も「とにかく入る」から、雰囲気を大事にする余裕も出てきた頃なんだろうなあ。

「ひどいもんでしょ?でもねえ、下とかどうなってるか分からなくて、改装しようにも手がつけられないのよ…刈谷も7軒銭湯あったんだけどね、この間一軒やめちゃったから今はウチだけ。珍しいって、東京から写真取りに来る人とかいるのよ」はっ!?もしかしたら町田師かな?「一軒しかないからねえ、やめないでくれって人も結構いて…」ライフラインだもんなあ。なくなりゃそりゃ困るわなあ。が、自由競争社会では、採算の取れないものは消えていく、っつーのが健全なありかた、これを歪めすぎて今の不況ニッポンがあるわけだし…難しいところだなあ。とにかく「頑張って続けて下さい」と言うしかなかったが…もし本意は辞めたいということなら、これもムセキニン発言だよなあ。

(2001年11月)