庄屋敷温泉


(草花豊かなレトロ銭湯っす)

aqua.gif (191 バイト) 場所 近鉄orJR天理駅 徒歩7分

なぜか天理へ。インターネットタウンページで調べると天理は3軒しかなかったが、「ざぶっと関西」で調べると6軒もあったっす。凄いぞ関西。天理…なんっつーても天理教の街。駅を降りると「天理教」「TENRIKYO」と書かれた黒のジャンパー?を着ている人が目立つっす。なんかFBIみたいだな…と思うのはTVや映画の見すぎ?


(天理駅ホームより、奥に見えるのが天理教施設の数々)

(天理駅)

(天理本通商店街)

天理まで来たんだから、天理教関連施設を見ないと、っつーことで街を歩いてみるっす。確かに街中天理教の街だなあ。天理本通り商店街っつー、アーケードに進むが、確かに普通の店に混じって宗教関連グッズが目立つ。「ようこそおかえり」っつーのがコピーらしいっす。ここを進むと天理教の本部、いや〜、びっくりするような凄い建物。


(「ようこそおかえり」っつーのが
天理教のスローガンらしい)

(天理教本部、こりゃまた大したもんだっつーか何っつーか)

さて、引き返して目的地の庄屋敷温泉へ。天理郵便局の近く、駅からだと徒歩7分ほどかな。この銭湯が…うむ〜、基本的にレトロ系だが、今までに見たことないタイプっす。入り口に「ゆ」の小さな看板があるけど、これが無きゃ銭湯がここにあるなんて絶対わからんっす。人の家のような立派な門、そして綺麗に手入れされた庭、なんと5重の塔まで建っている。


(これが銭湯の入り口なんて、看板なきゃ絶対わからんよ)

と、玄関は立派なんだが…奥はすごいレトローな銭湯。玄関がなんか木の扉になっている。下足板の鍵はおしどりだが、ほとんど使われていない模様。で、番台が…超低く、また幅広な番台。ここで奈良銭湯料金350円を払う。番台親父は、ここにもう何十年も座ってます、っつー雰囲気。番台低いけど、女湯側はガチガチについたてでガードされてて、絶対見えないようになっているっす。

さて脱衣場。さほど天井は高いっつーほどでもない。ONOのアナログ体重計、これまた古いもの。男女の境に大きめの招き猫、神棚。古い細かいタイルの流しがあるが、この正面に小さなタイル絵があるのをチェーック。で、ロッカーは、これまた奈良でよく見るタイプの、木の番号が書かれたものがすらり。ロッカーの鍵はおしどりだが…この古さからいって…あった!最下段のロッカー、見たこともない「キング」と書かれた鍵。最近はコツが分かってきたのだが、良く使われる中ほどのロッカー鍵は、新しいものに交換されている場合が多いのだが、最下段はほとんど使われないため、昔の鍵がそのまま残っている場合が多いっす。ロッカーは最下段をチェックだ!その他、長いす、旧式のマッサージ機。


(なんかこう、凄いよなあ、透かし彫とか)

(これは流しにあったタイル絵)

浴室へ。あっし以外は誰もいない…女湯側には人の気配がするな。天井は基本的に関西型の四角錐型、真ん中に湯気抜き。浴槽はセンターの大阪型、脇に一段ついているっす。桶と椅子がほとんど無い…3個ほどあるが、これまた「クロバー石鹸」と「タマゴシャンプー」っつーレアものの小型桶。カランは「宝」マークの入った、赤青丸型カラン。この雰囲気はシャワーレスかなあ、と思ったが、真ん中あたりのいくつかはしっかりシャワーが付いていたので助かる。カランの湯量、湯温ともに、まあOK。基本的なところがしっかりしてくれると助かるっす。

さて、この銭湯の特徴的なところ…それはタイル絵。最奥と男女の境に2枚。タイルに書かれた絵なんだけど、一枚は深い渓谷に帆船。もう一枚は灯台と帆船。この絵、プロの画風だが良く見ると面白い。帆船は江戸時代のような帆船なんだが…灯台は、じっと見るとビル灯台、コンクリの階段がついているっす。いったいいつの時代を想定してるんだろう…


(タイル絵、「名物ようき豆」っつーのも何なんだ!?)

浴槽は大阪型2槽、手前が深風呂で真ん中底から湯が噴出、奥がかなりの浅風呂。ライオン口から湯が出ている。このライオン口、誰が発明したんだろか。そもそも、どこの会社がつくってるんだろうなあ。ケロリンなんかは「有限会社 睦和」なんだけど、こういう日本人の多くが知っているメジャーなものを作っている、零細企業って結構あるんすよねえ。入り口近くの隅に、ごく小さい槽があるけど、湯は張られていないっす。多分、昔水風呂で使われていたのかなあ。

上がりは長いすで…ここは何と、オロナミンCしかないので、110円で賞味。暑い夏の日の夕方、レトロな銭湯の長いすでオロナミンC。脇に扇風機があるが、スイッチを入れる気になれずに傍らにあったウチワでパタパタ。東京から遠く離れた地の銭湯で、いったいオレは何やってんだろうなあ。脱衣所の壁には恵比寿様?あと、なぜか歌舞伎役者の絵がかかっているっす。


(恵比寿様と歌舞伎役者の絵。額が古いがいつのもの?)

と、ここで凄いものを発見。良く見る、入浴者心得だが…年代が…昭和8年!?まったく何気なしに、ごく当たり前のように掛けられているっす。戦前だからすでに古文書の域だよ。それにしても…っつーことは、この銭湯、昭和8年より前から、ずーっとこんな感じだったっつーことか?心得を良く見てみるが、意外なことに内容は現代のものとほとんど変わっていないっす。しかも、「丹波市」となっている。そんな市ないぞ!この辺りは天理市になる前は、「丹波市」だったのか?何気ない銭湯から、イメージと謎は深まる…っつーわけで、シブーいレトロ銭湯だったっす。


(昭和八年、丹波市警察署の入浴心得)

さて、外に出ると夕方のいい時間になっているっす。時差の関係で、西日本の夕方は遅い。この夕方のだらーっとした空気は、西日本独特のものっす。東日本ではあまり感じることはない。とりあえず何か食うか…商店街にこれまた古そうな食堂っつーか、焼そば&お好み焼屋があったので入ってみる。大体、こういうボロ食堂っつーのはハズレが多いんだけど、地元を感じるにはこの方がいいっす。

ドアを空けると、中にいる日焼けしたオッサン3人ほどの視線がさっと入り口に集まる。ちょうど夕食時だったような。鉄板付きのテーブルに…こりゃ驚いた、わざわざスタンド型の灰皿を机の脇においてあるよ。お姉様が「いらっしゃい!」こっちの方が驚いた!歳のころ60くらいだが、何と…完璧なドレッド。しかもドレッドの先にいちいち飾りをつけている。この地元のオッサンたちから見たら、さほど何も感じないかもしれんが…シモキタ辺りでギャルがよくやってるよ、完璧に最先端の髪型っす。天理の古いお好み焼き屋でねえ…

ミックス焼そばとビールを注文、焼そばをわざわざテーブルの上の鉄板で焼いてくれるが、これまた予想に反して旨かった。っつーわけで、しっかりと天理の思い出が焼き付けられたっす。


(玄関前の庭、見事なり)

(2002年7月)