中乃湯


(入り口で雑談する爺さん婆さん、ショッピングカートみたいのは、散歩中自分が座ってくつろぐため)

aqua.gif (191 バイト) 場所 バス コザ十字路下車 徒歩5分

沖縄でもよく遊んだ。ちなみに、琉球語では「沖縄->うちなー」「遊ぶ->あしぶ」ね。

沖縄市コザの中乃湯へ。ご存知コザといえば米軍基地の街。こんなところにも銭湯が。コザ十字路より徒歩だと5分くらいっす。正面に立つが…これまた凄い。ビル銭湯なんだが、相当の年季っす。こういう建物を簡単に「ビル」と言ってしまっていいのだろうか。完全にボロ銭湯だが、なんと正面に駐車場まであるっす。


(ゴザ市街のストリート)

15時開店という話だったが、15分くらい前に行くと、すでに開店、しかも開店後しばらく経った雰囲気。完全フロント形式だが…フロントには人がおらず、なんと玄関前に長いすを出して座っている「おばあ」がここの主。沖縄銭湯料金、正200円を払って中へ。


(フロントには誰もおらず、手書きの「男」「女」、このいい加減さが沖縄!)

で、この銭湯、なんと沖縄の温泉!立派な温泉銭湯で、琉球大学の調査により温泉と判明とお墨書き。それにしても本当かよ、沖縄で温泉が出る理由がほとんど無いよなあ。

脱衣場へ。この脱衣場も、浴室完全一体タイプ。もう驚かないぞ。天井は比較的高いっす。脱衣場床は板間になっているっす。ロッカーは…鍵付きはなし、完全オープンタイプのロッカー。もっとも浴槽から完全に見えるので、盗難の心配はあまりないっす。脱衣場には長いす。

浴槽へ「降りて」いく。結構混んでるっす。両サイドにカラン…っつーか湯と水の蛇口。蛇口の前に大きく「湯」「水」と書いてあるっす。そりゃそうだ、同じ形の蛇口だから分かりずらい。脇に立ちシャワーブースが2機あるが、使われていない模様で、桶と椅子が積んであるっす。

さて、まずカランを使おうとすると…爺さんが一人「うーうー」とうなっている。どうやら使用中のカランらしい。こりゃすまんことをした、と別のカランへ移動。このカランっつーか蛇口が面白くて、湯出口と水出口を二股のホースで結んでいるっす。これで丁度湯と水がミックスされて、ぬる湯が出るしくみになっているっす。むろん蛇口の位置は高さ1メートルくらいっす。

で、風呂道具を置く部分が…これまた驚愕、白いセメントらしいものが「盛りあがって」いるっす。タイルでもなく、ちゃんと整形したコンクリートでもないっす。なんというか…まあここに置く。慣れないこの蛇口は使いにくいので、浴槽から湯をすくって身体を洗う。

で、ふと「注意書き」を見ると、またまた驚愕。「いけの中にタオルを入れないでください」とあるっす。「いけ」?中国映画「こころの湯」では、銭湯の屋号が「清水池」だったが…なるほど、ここでは「湯舟」ではなくて「湯池」というのか。沖縄文化は中国の影響がより強いっす。また、こんなところで繋がった…しかも注意書きに「浴槽の湯で顔や頭を洗うと危険です」とある。「危険」とは…やっぱり亜熱帯までくると、伝染病の注意も十分にしないとイカんっつーことか。

で、爺さんが5,6人入っていて、結構盛んに会話をしているのだが、何語でしゃべっているんだか全然不明。発音を聞くと、ほとんど中国語に聞こえるっす。沖縄の方言がものすごい強い…っつーか、これ日本語でないよ。琉球語だ。

さて浴槽へ。センターにある、完全丸型浴槽。中に一段、座り段がついているっす。で、この浴槽もびっくり、なんか手で白く塗り固められているっす。実はここの話をあらかじめ町田忍師匠から聞いていたのだが、銭湯の女将みずからの手作り浴槽らしいっす。ううむ…これは凄い。

とりあえず湯舟、いや池に入ろう。これがまた…沖縄の温泉なんて温泉力を疑っていたのだが、立派な温泉。弱アルカリ性、少々ぬめりがあり、軽くまとわりつくような湯。いいじゃん。全然いいじゃん。温度は42度弱。大変気色が良い湯っす。こんなのに200円ぽっちで入れるとはねえ。気色がいいので水を浴びてまた入りなおす。どうやらカランの湯も温泉の模様。少しなめてみると、ややしょっぱい。ナトリウム泉か。しかし何でこんな場所に温泉が…

上がりは…これまたドリンクの類一切なし。玄関の外に長いすを出して、客と女将が雑談中。うむ〜、アジアンな光景。っつーわけで基本は沖縄のボロ銭湯だが、湯はいいぞ。これはびっくりのいい銭湯っす。しかし、表で少し客の出入りを見ていたが、車で桶かかえてくる客、imodeのケータイをぶらぶらさせながら来る爺さん、なんか古いものと新しいものがミクスチャだなあ。ふと、どこからともなく三線の音が聞こえてくる…

(2001年10月)