双葉温泉

aqua.gif (191 バイト) 場所 阪急三国駅 徒歩7分

とりあえず「廿世紀銭湯写真集」に載っている銭湯は全部行ってみようと三国の双葉温泉へ。ここも大阪市といいながらヘンな場所にあるなあ…神崎川を渡っての飛び地。回りは全部豊中市っす。阪急三国駅から歩きで7分ほどか。途中、三国橋を渡りながら正面に大阪型のやや太い煙突を確認。


(三国駅前商店街)

(三国橋からの光景、街の中に太い煙突)

正面は立ち呑み。結構現役の店だなあ。さて、双葉温泉、玄関前にかなりスペースがあり、立派な門構え。玄関に通じる道の両側が花壇になっているっす。で、牛乳石鹸の大阪型3房暖簾が揺れるっす。玄関の瓦は立派な瓦、横綱双葉山がいるらしいのだが、肉眼では夜ゆえに良く確認できず。


(画像処理によりやや判明、なんとなく横綱双葉山)

さて、下足板の鍵はツルカメ。中に入ると番台…には人がおらず、親父が男湯側に腰かけて待っているっす。脱衣場の天井は大阪的高さだが、格子になっていてなかなかの木。シャンデリアが上から下がり、4羽のプロペラのようなゴッツイ扇風機が上から降りる。

男女の境にTV。そして境のところに…立派なステンドグラス。帆船の模様の昔のフレーバーのレトロなガラスっす。真ん中に長いす、テーブル。隅にアナログ体重計、KYOTOとか書いてあるっす。あとは旧式の20円マッサージ機。ロッカーの鍵はツルカメ。便所への入り口がまた割と立派なつくりになっているっす。

浴室へ…行こうとすると、どうやら途中に中庭。もちろん女湯側との間は壁があって見えないようになっているけど、その下に男女通じる池…とはいっても、今は水が張っていない模様。この中庭に面して、洗面台が二つあるんだが、なんともレトロな形っす。


(浴室入り口にある、日の丸の入ったステンドグラス、高級なものらしい)

浴室天井は大阪で良く見る四角錐型、センターに湯気抜き。それにしても確かに古い銭湯だな…全体的に石が多く使われ、古いけど落ち着く。パーク温泉とかと同じ形で、浴室真ん中に出っ張った感じで2槽の浴槽、両サイドにカラン。出入り口近くに立ちシャワーの名残?壁に唐突についてるシャワー。床にも石の部分が多いんで、歩いてても温かみがあるっす。

桶は睦和の黄色の小型桶、無地だけど若干透明のような感じ。緑椅子。カランはツルカメの赤青、シャワーは一部にしかついていないっす。湯量、湯温ともにOKなんだが…水側がかなりぬるい…25〜30度くらいあるんでないの?カランはかなりキてて、根っこがパテで補修されているっす。それでも押すとあっち方向に湯が飛び散る。

モノを置く台部分は、大阪銭湯としてはかなり低いっす。っつーか、なんか…ヘンだなあ、と思って良く見ると、なんと鏡の位置が高い!緑椅子に腰かけると、はるか上にあるっす。こりゃ立たないと鏡見えないなあ。あと、奥に単に鏡と「置き段」だけついた部分が。どうやらヒゲそりスペースの模様、爺さんとか見てると、この置き段に、お湯を張った桶を置いてヒゲをそっている。なるほど、こうやって使うのか…

さて浴槽へ。基本的に深風呂と浅風呂、手前が深風呂になっており、奥にジェットが2機。背中に当たる部分がアーチ型にカーブしているっす。温度は大阪としてはやや熱めで43〜44度。で、この浴槽がツルツル。古い銭湯の割には、掃除をしっかりしてるんだろうなあ。気温も高かったせいか、すっかり汗をかいたっす。

上がりは…結構いろいろドリンクが置いてあるけど、ここはまだ飲んだことのないローカルドリンク、シーホープのメロン、80円を賞味。思ったとおり甘い…その他「はちみつうめ」とかも置いてあるっす。

脱衣場のTVではWCのイタリアV.S.メキシコ戦がリアルタイムで行われているっす。イタリア負けてんじゃん!気になるよなあ、ここでイタリアが1次リーグ敗退だと、WC自体がシラけるだろうしなあ。長いすで親父と並んで観戦、お、トッティと交替した選手のシュートが決まって引き分け。親父も気にしているようで、スポーツ新聞を持ちだして「引き分けだと大丈夫なのかな」とか二人でいろいろとあーだこーだと検討。んなことやってるうちに試合終了。

何かいろいろ話もしたし、切りだしても大丈夫かな?と「この間、ここが写真集に乗ってたでしょ?」親父はキョトンとして「え?どこ?ここ?」「そうそう」遠い目をしながら「ああ、東京の出版社ね。そういやこの間、本送ってきてたわ」これをきっかけに、親父の方がいろいろと話だす。

「いや〜、もうタダのボロい銭湯ですよ」
「でも、今これだけのものを作ろうとすると相当かかるでしょ?」
「そりゃあね。あのステンドグラスも、鉛使ってて普通のより全然高級なんだよなあ…この間の震災の時、隣の隣の銭湯は煙突折れちゃって、いろいろ直すと相当かかるんで結局止めて駐車場にしちゃったんだよね。でも、ウチは柱の隙間一つ出来なかったよ」
「ほうほう」
「でもさ、こんな商売、息子に継がす商売じゃないよ。苦労するのが目に見えているもん。オレの代で終わりだな」

こんな話を聞かされると、軽軽しく「頑張ってください」なんてのも口はばかられ るっす。「出張で来はったん?」「ええ、仕事のついででね…またよろしく」と銭湯を後に。複雑な気持ちを抱いたまま、ミナミの飲み屋へ向かうのだった。


(正面にあった立ち飲み屋)

ところで、すでにミナミの飲み屋であっしの銭湯マニアも知られているらしく、「なあ、つかさくん、オレのウチの近くにいい銭湯ある?」だと…銭湯に詳しいと地元でも一目置かれるぞ!やっぱり人間、知らない人にでも「アツく語れる」ものを持っていた方が、面白い人生を送れるかもしれんっす。ひひひ。


(やっぱあっしは呑むならミナミだなあ)

(戎橋から心斎橋筋商店街)

(これは宗右衛門町だが、YAFOOって何やねん!?)

(2002年6月)