つかまの湯

aqua.gif (191 バイト) 場所 JR松本駅 徒歩20分以上

さて、夜は松本に戻って…銭湯でもいくか。松本は古い城下町、国宝の松本城で有名っすね。町並みも昔の城下町を基本にしてるっす。古い建物や蔵も結構残っており、道幅が狭い。一方通行が多い土地っす。こういう所には古くからの銭湯が残っていることが多いっす。


(国宝松本城)

つーことで城下少し下ったところ、本庄のつかまの湯へ。漢字だと筑摩と書くらしい。どうも、古典等で天武天皇がこの辺りの筑摩(束間)っつー温泉に行幸に来たことがあるらしく、それが由来らしい。しかし天皇も日本人だよねえ、わざわざこんなところまで温泉ツアーとは。

かなり道幅の狭い古い住宅街、電話帳の住所によるとこの辺りだが…ん?発見。ぼんやりと緑色の行灯看板が立っているが…これがすんげー年代モノ。いつの時代のものだ?「つかまの湯」といかにも手書きの文字で書いてある。入口がこれまた破風を模したような古い建物。しかし入口にかかる牛乳石鹸暖簾はまさしく銭湯。


(この看板が凄い…)

下足の鍵はおしどり、長野県銭湯料金360円を払う。むろん番台。広い脱衣場、丸籠が隅に積まれているっす。アナログ体重計のメーカーは…KOMIYA?さらにフジの旧式マッサージ機。なんとドリンク類は販売してないっす。男女の境にTV。隅に長いすとテーブル、灰皿。ロッカーの鍵はなんと「大日の出」、レアなブランドっす。

さて浴室へ。浴室は一回改装したのだろう、思ったほど古くない…が、あっしの他に5,6才の子供が一人いるだけ。カランは逆三角形の赤青レバー式、シャワーもついているので一安心。で、シャワーの温度は適温だが、カランの湯の温度がまるで上がらない…仕方がないので、桶で湯舟の湯をすくって使う。

天井は真ん中に細い湯気抜きがある形状。カランは20個ほどあるから、地方銭湯としては多い方だろう。昔はとても繁盛してたんだろうなあ。スチームサウナがあって、300円とちょっと高いが、これが稼動していないっす。土曜の夜なのに…おまけに、せっかく水風呂槽もあるのだが、水が溜まっていない。おそらくこのスチーム、相当の間稼動していないのだろう。

まあ、主浴槽へ。湯温は42度くらい。なんと主浴槽に入ると、外の通りが見える。夏のこの時期、脱衣場入口は縦長の大きな暖簾をかけたままの開けっぱなしになっているが、浴槽から暖簾の下を通して外の通りが見えるのであるっす。主浴槽の隣にデンキ風呂コーナーあり、デンキに打たれてみるが、これが微妙なリズムでなかなかキくっす。

隣に人間洗濯機、丸風呂で周囲に斜めにジェットがついており、真ん中からバイブラ。このジェットが結構強くて、良く水流が回転している。これが結構強かった。本当に洗濯機の中に入っているような気がするっす。今まで入ったどこの人間洗濯機の中よりも洗濯機らしい。おまけに浴槽内にランプがあり、赤、青、黄色と刻々と変化しているっす。

一緒に入ってるガキだが、コイツがなかなか銭湯慣れしており、一人なのに一通り浴槽を楽しんで、身体もしっかり洗っている。ヘンなガキ〜。でも、5,6歳なのに銭湯に一人でやってくるとは、どういう家庭事情があるんだろうか。まあどういう事情があるにせよ、一人でしっかり入れるんだから大したものである。

上がりは…ドリンクもないんでどうしようかと思っていると、ふといきなり扇風機が回りだす。番台の親父が気をつかってスイッチを入れてくれたようだ。この「扇風機のスイッチオン」も、リモコン式の扇風機の場合、番台のサービスなんすね。なんとなく番台の親父と心が通じたような気がする。なお、営業時間は地方銭湯らしく10時までっす。

っつーわけでほとんど人がいない、うらさびれた銭湯。あまり続けようという感じもないようだし、次に松本に来るときには存在しないかもしれないなあ。でも住宅街だから無くなったら困る人もいるだろうし…もちろんあっし的にはずっと残っていて欲しいが、とても収益なんてなさそう、維持費も出ないかもしれないっす。こういう状況で「なんとか続けてくれ」と思うのは、客のワガママなのかもしれんっすねえ。難しいところっす。

上がりは松本城下のヤキトリ屋へ。山中の街はやっぱり肉系っすね。鶏肉の「せせり」一本130円がなかなか旨かったっす。ヤキトリ屋のオヤジに信州人気質を教えてもらう。この親父も東京出身でこっちに20年以上いるそうだが、ヨソから来ただけに良くわかるそうっす。

(2001年8月)