栄湯

2002年12月23日をもって廃業しました


(元々正面にむくり破風の小屋根の入り口だった模様)

aqua.gif (191 バイト) 場所 西武線 田無駅 徒歩4分

田無の栄湯が廃業する、っつー話を聞いて田無へ急行。田無駅を降りて4分ほど、郵便局の角を曲がると「栄湯」の大きな看板。入り口にはコインランドリーのビル。向かいに、イカにも昭和、っつースナック通り。かつては、この通りが銭湯への「参道」だったんだろうか。高い煙突は屋号入り。


(銭湯参道)

入ったところにも「超音波風呂」の大きな看板。建物自体は木造の伝統様式だが、玄関が改装されているっす。立派なむくり破風が、ビルの陰に隠れて窮屈そうっす。かつてはこっちが玄関だったようだが、正面にコインランドリー他のビルを作ったために、脇から入るようになったんだろうなあ。


(超音波風呂の看板)

(むくり破風が窮屈そう)

玄関にはオリジナルの暖簾、下足板の鍵はSAKURA-Gっす。入り口には「22日で閉店します。23日は無料入浴」と書いてあるっす。中に入ると完全フロント形式、フロント前にはロビー、TV、報知新聞。当然表紙はゴジラのヤンキース入団話題っす。風呂グッズも廃業を前にして値引き販売中。


(廃業宣告書)

脱衣場へ…やあ、これまた高い天井だ。しかも端がカーブ処理された格天井。浴室入り口のガラスには「48年ありがとうございました」とあるっす。っつーことは昭和30年頃の築か。高度成長初期の頃の銭湯、田無は破風の立派な銭湯が多いが、そこ頃に競い合うように破風造りの銭湯が出来たのかもなあ。KEIHOKUのアナログ体重計、旧型マッサージ機。長いす。ロッカーの鍵はSAKURAVのシリンダ錠。

浴室へ。これまた東京伝統型の2段の高い木造天井。桶は温泉マーク&赤線入りの睦和の黄色桶。緑椅子。比較的大型銭湯で、島カランは2列、ただし1列は片側のみっす。カランは水色の6角、シャワーともども湯量、湯温OK。出入り口近くに立ちシャワーブースが一つ。

男女の境が…これまた東京では珍しい厚手のガラス。向こうが…動く人影は見えるんだが…それ以上のディテールは見えない。見えそうで見えない男女の仲。が、気になるのは間違いあるまい。

浴室最奥部は大きなペンキ絵。丸山師の瀬戸内海の絵っす。さらにその下に、熱帯魚のモザイクタイル絵。広告は…背景広告社の案内と、おなじみ多摩クリスタルの広告。ここって営業してんのかなあ、まだ。

さて風呂へ。大きめの銭湯らしく、4つの槽。まずは一番端の手前にある、「草津の湯」の浴槽へ。白濁のありがたそうな湯、しかも硫黄のニオイ!こりゃいいや…が、この湯花だと、メンテが大変だろうなあ。思った通り、蛇口は黒く、多少腐食しているっす。やっと2人入れるくらいの広さ、湯温は43度くらいっす。満足満足。

さらに繋がった3槽、今日はジャスミンの薬湯になっているっす。いずれも43度強っつー辺りか。センター側から丸風呂、真ん中がバイブラ。噴出も強く、センターにいるとなかなかマッサージ効果。さらに真ん中が石の入った檻から湯が出ているっす。3点式のジェットが2機。端が一人用の超音波風呂、要するに座ジェットね。これは7点式。冬の日は徹底して汗を出すと後で肌が熱を持ってよろしい。っつー訳で水を浴びながら何度も入りなおす。

それにしてもこの銭湯、廃業目前にして…客が居ないんだわあ。入浴中、半分くらいの時間はあっし一人。他にも客はポツポツ。田無は新興住宅地だからなあ、内風呂への切り替えも早かったのだろう。この銭湯も、建て直してマンションにするらしい…


(脇からの銭湯全景)

(隣のちゃんこ居酒屋、うまそ…)

上がりはロビーでビン入りコーヒー牛乳、他に白牛乳にオロナミン、種類が少ないのはもうじき終わりだからだろうか。そういやロビーには新型マッサージ機も置いてあるっすね。っつー訳で戦後の田無の成長を見守ってきたこの銭湯も、いよいよ終了っす。気合入れて入っただけあって、帰りはさすがに暖かかったなあ。


(ハッテン著しい田無の駅前、そして銭湯は消える…)

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(2002年12月)