月の湯


(格好いいっすぅ)

aqua.gif (191 バイト) 場所 地下鉄護国寺駅 徒歩8分

ここを知らずしてマニアとはいえまい。

護国寺の月の湯にいったっす。護国寺駅を降りて、講談社を横目に東大医学部分院の方へ坂をあがる。駅から徒歩8分くらいかな?住宅街の中に巨大煙突が見える。これを発見すれば着いたも同然。正面に回ると〜…うわ〜お!立派な破風造。すげー格好いい。

下足の鍵は松竹錠。傘立てがまた変わっているが…戸を開けてなかへ。当然番台だが、この番台がまた低い。旧タイプっす。いったい何歳なんだ?お姐様が愛想良く座っている。さて、服を脱ごうとすると…あ、ロッカー、木のロッカーだ。すげー。新しいタイプは一つもない。が、ロッカーに鍵がないぞ。番台のお姉さまが「すみませんねえ、ウチ籠だけなんですよ」あ!今の時代の東京で、ロッカーのない銭湯、はじめてだ。仰天。とりあえず丸籠を使う。盗難の心配は…ないよなあ、なにしろ客があっし一人。(-_-;

それにしても古い、レトロな銭湯っす。脱衣場の天井は当然高く、格子。木の一つ一つがかなり古い。アイテム一つ一つが古いっす。外の縁側がこれまた古くなおかつ広い。庭もなかなかなんだが、池には水が張っていないのが残念。縁側に水槽があるのだが、中になにも入っていなくてなぜか蛙の置物が入っている。謎だ。


(謎の縁側光景)

浴室へ。シャワーは期待してなかったが、なんとセンター一列のみシャワー。島カランは一列。桶はケロリン。椅子の数が少ない…おそらくタイルに直接座る爺さんが多いのだろう。カランは比較的新しいプラスチックの5角カラン。湯の温度はいいんだけど、シャワーがちょっと弱いか?シャワーのメーカーはSAN-EIっす。排水溝にもタイルを使ってるのは古いタイプかなあ。浴室からもガラス越しに庭が見えるのはいいつくりっす。

って浴室入り口の戸が、これまた「引き戸」っつーか、喫茶店とかによくあるタイプの戸。これまた超珍しい。なんで?おまけに「PULL」とか書いてあるっす。そうしえば脱衣場の入り口もそうだったなあ。

で、浴槽は2槽式の一般的なもの。ジェットはなく、全体的に泡風呂になっているのだが、これがなかなか噴出が強い。泡風呂の能書きが書いてあるんだけど、これまた古いんだよなあ。もちろん深風呂と浅風呂、温度は42度かそれ以下かも。いつもならぬるく思うのだが、たしかにぬるめなんだけど、これがなぜか気色が良いっす。泡のせいか?それとも水がいいのか?多分井戸水だろうなあ。浴槽の湯出口がまたおもしろく、やや奥から沸きだす構造。2槽の中間には、今やレアものになった親子背負い蛙の石像。

壁画がこれまたびっくり。ペンキ絵で渓谷なんだけど…ありゃ〜。新宿区鶴の湯同様、いきなり渓谷の中に「地球温暖化がなんちゃら、環境がなんちゃら」みたいなのが書いてあるっす。ありゃ〜。さらに、その下に広告。現在生きているものかは知らないが、電話番号が4桁になっていたので、比較的最近まで現役だったのだろう。こういう銭湯を支援するとこがあるのね、多分。

さらに壁画の下には…出た〜、滝を上る鯉のタイル絵!これですよ、これ。必殺銭湯だなあ。サインは鈴英堂、っつーことは章仙師のものか。浴室の天井はむろん高い東京銭湯、規模としては中型。でも、上部の天窓をみると…サッシがゆがんでいるのか、窓が完全に閉まっていない。ところどころ、かなり隙間があるっす。キてるよなあ。

時間がなかったので、上がりはドリンクといけなかったが、小さい冷蔵ケースに1,2本ビン牛乳も。客があまりこないから、こんなもんなんだろうけど、それでも少しだけでもちゃんと置いてあるところがエラいっ!壁を見ると、いろいろサインが張ってある。なるほどなあ、マニアにとっては、この銭湯はレアな銭湯だろうしなあ。中にはなんと、立川談志のサインも。「銭湯はうらぎらない」。そりゃそうだ、「銭湯に裏切られたー」なんて、聞いたことないぞ。


(右から二番目が立川談志)

他に客がいないんで、おずおず脱衣場の撮影許可を番台のお姐様に頼むと快諾、ラッキー。こういう銭湯は記録に残しておかねば。

とにかく「いわゆるボロ銭」だが、本格系マニアなら、ここを知らずして銭湯を語れないっす。あ、ロッカー無いのは心しておいてね。

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(2000年11月)