木村湯

aqua.gif (191 バイト) 場所 地下鉄 水天宮駅 徒歩3分

さて、少し納期がキツい仕事があったので、2日も風呂に入ってなかった。仕事もケリがついたので、これは風呂に入らないと死んでしまうだろう。っつーわけで日本橋の木村湯に行ってきたっす。茅場町から5分ほど、水天宮からなら3分くらいか?

しかしこの辺りのエリアも変な場所である。ビルが並ぶかと思えば、こつぜんと古い建物が狭間に。木村湯もビルの間にこつぜんとあるレトロスポット。煙突はすでに回りのビルの方が高くなっている。入り口周辺には植木。月島とかこの辺りは、鉢植え置いてあるところ多いっすね。昭和30年ごろの東京の写真を見ると、確かに道端に鉢植え置いている家や店が多かったのだが、いまや限られたスポットになっているっす。

さて、外観は古い木造建造物という感じ。窓枠の形が変わっている。暖簾は木村湯オリジナル、下足の鍵は古いカナリア、脱衣場の入り口は古い木戸。

番台はかなり低く、中に半畳ほどの畳が敷いてあり、親父がここであぐらを書いている。下町風で強いイントネーションだが、礼儀正しく「いらっしゃい」。脱衣場の天井は格子になっており、むろん高い。天井からつりさげられた蛍光灯。ロッカーの鍵は「TOKYO」となっている。やや縦長のロッカー。

脱衣場内は他に古いマッサージ機。むろん縁側と庭があるが、庭の池にはすでに水が張っていない。男女の境は「大入」の額と招き猫、そしてTV。 あとはお決まりの長椅子とテーブル、灰皿だが…変な写真がある。あ?銭湯で三浦友和がカトちゃんの背中を流している?TVのヒトこまのようだが、背景のタイルのヒビの入り方を見ると確かにここ木村湯である。トイレを借りるが、このトイレがこれまたレトロ。天井からヒモが降りてて引っ張るヤツっす。って、実をいうとウチもこれなんだよなあ…

さて、浴室へ。他には客が2人、爺さんがいるだけ。入り口で古いケロリン桶を持ってカランへ。島カランは鏡もなし、窓際のカランはシャワー無し、かろう じてセンターのカランに鏡がついているのでここに陣取る。が…シャワーひねってもシャワーが出ない!?隣のシャワーも出ていないので、ここはあきらめて桶を使うことにする。カランの湯温も量もGOOD、これでシャワーが出ればなあ、と思ってあたりを見回すと、あ?変なもの発見。

男女の境の上に、桶らしいものがひっくり返っている。ん〜…おおっ!?これぞ幻の足付き白ケロリン。髪洗い専用のケロリン桶っす。ひゃ〜。近寄ってよく見ると、ケロリンの字は真中に書いてあるが、桶のサイズが違う。普通のケロリンの3倍くらい入りそう?しかしレアなものを発見したぞ!ってこんなこと喜ぶのって銭湯おたくくらいだよな…積み上げているケロリンの中にも、白色ケロリンが混じっている。カランのレバーは丸いボール型、赤青でWAGURIの刻印あり。

さて、シャワーが無いので少し手間取ったが、いよいよ浴槽だ。ジェット系イロモノが何もない、シンプルな2槽。一応脇から泡らしいものが。浅風呂がちょっと熱いかも?44度くらい。深風呂がそれより若干上だが45度はなさそう。壁画は富士山のペンキ絵、平成11年の作。奥多摩と書いてあるけど、奥多摩からこんなに富士山良く見るもんなのか…

さらに辺りを見回すと、男女の境にはタイル絵3枚。うち2枚は富士山で片方は富士五湖からの裏富士、片方は西伊豆からの表富士のようっす。まさに富士山づくし。

しかしこの銭湯、レトロなだけに静かっす。静かな中での熱めの湯、そして霊峰富士山。まさに宗教的雰囲気。と、いきなり大声で常連爺さんが入ってくるっす。「今日は熱いかい〜?」そして常連どうしの会話。東京中心部の、時間に取り残されたスポットっすねえ。

上がりは脱衣場でビン入りりんごジュース。ビン牛乳もとうぜんあるっす。で、ここでレアなもの発見。80mlのミニ瓶のようだが…雪印スノーラック?雪印にんじん?これは見たことがない。よっぽど呑もうと思ったが、今日は80mlの気分ではなかったのだ。帰りは番台の親父が大きな声で「ありがとう」、いかにも「東京弁」っつー声。「東京弁」ってどんなものかって?いや〜表現が難しいんすけど、銭湯いろいろ行ってるうちにどんものかわかってきたなあ。大阪弁が単なる発音だけじゃなく、雰囲気とかと一体なのと同じように、東京弁も一体っす。っつーわけで、たいへん古式ゆかしい、レトロの香り高い銭湯っす。

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(2001年1月)