竹の湯

2004年に廃業しました


(コインランドリーの奥が入り口)

aqua.gif (191 バイト) 場所 地下鉄三田線 本蓮沼駅 徒歩3分

意外なところで神田川。

板橋もいろいろ行かんとなあ、っつー訳で本蓮沼の竹の湯へ。地下鉄本蓮沼駅から3分ほど、本蓮沼なんっつーのは東京でも実にマイナーな街、どうせ何もないだろう…と想像してたら、結構店とかあんのね。何で商業が栄えたんだろうか?基本的に、中山道周辺は古くからそこそこ栄えたのかな?

さて、巨大煙突発見。木造のイカにも銭湯っつー建物、しかし入り口はコインランドリーで、屋号も看板も暖簾もないからこれが銭湯って分からない人もいるかも。下足板の鍵はおしどり。古めかしい戸を開けるとそこは昭和の香り。

当然番台だが、ここに座っている爺さん…うむ〜、七十台後半、もしかして八十過ぎかな…番台に「サウナ200円、どうぞお入りください」と書いてあるので、「サウナも」というと、見かけと違ってこの爺さん、結構しっかりしてるっす。下足鍵と交換にリストバンドを貸し出し。

さて脱衣場、天井高く格天井。端はカーブ処理してあるっす。男女の境には古い広告、代理店は敬心社のものっす。島ロッカーが無いので脱衣場真ん中は広いっす。そこに一畳の長いすが一つ。丸籠も積んであるっす。現役の洗濯機が一つ。KEIHOKUの背の高いアナログ体重計。ロッカーは結構数が少なく、松竹の鉄板鍵のものと、おしどりのシリンダ錠のもの。壁に「薬風呂は大腸菌が繁殖しやすく、保健所の取締りが厳しいので当湯は綺麗なお湯に入っていただきます」っつーようなことが書いてあるっす。そういや昔、レジオネラ騒ぎがあったのは板橋区、その影響かなあ。

浴室へ。天井高い東京型の2段、それにしても大型銭湯っす。桶は黄色の無地桶、島カランは1列っす。出入り口近くに冷温の立ちシャワーブースが二つ、カランは東京では珍しく「宝」マークの入った赤青レバー型、シャワーともども湯量、湯温OKっす。客はやっぱり50以上の親父が多いな。

で、壁画。最奥部に富士山のペンキ絵、これは中島師の絵だな…立派な富士山、手前が湖っす。この間の町田師匠のトークショーで、「富士山で浄化された水の延長に湯舟がある」っつー解説を聞いていたので、なんか改めて新鮮。さらにこの壁の端の部分が、かなり高いところまで岩風呂になっているっす。決して新しい銭湯じゃないんだけど、なかなか圧巻。男女の境には風車のモザイクタイル絵

浴槽はかなり広めで、L字型になった繋がった3槽式。両端が小さい槽で三つとも繋がっているっす。さて、一番端は…これはぬる湯っつーより、埋め専用湯っすね。ここは42度弱くらい。真ん中の岩風呂にあたる主浴槽は43度強っつーところ。一部泡風呂と7点式の座ジェット。その脇が高温槽で、44度強っつーところっす。結構温度のメリハリが強いのは、やっぱり浴槽が広いからだろうなあ。

サウナへ。4人くらいのこじんまりした乾式サウナ、温度は100度くらいっす。何もないが、砂時計が一つ置いてあるっす。サウナを出たら立ちシャワーで水浴び。

っつー訳で、最初に番台の爺さんを見たときはちょっとぎょっとしたけど、古いが基本がしっかりしたいい銭湯っす。ドリンクはビン牛乳、ビンコーヒー、パックにオロナミンCっつーところ。上がってふと体重計を見ると…おや、「静かにお乗りください 安兵衛湯」とある。これはもしかして…と高まる胸を抑えつつ、牛乳100円を購入しながら「なんで安兵衛湯ってあるんですか?」と爺さんに聞くと、急に顔を崩して「ああ、あれは本店の。やめちゃった時に引き取ったんだよね。」「どこにあったんですか?」「早稲田だよ」そうか!予感は適中!

早稲田の安兵衛湯と言えば、例の「神田川」のモデルになったところ。あの銭湯が廃業して、そこの体重計が流れてこんなところに置いてあったのか…なんとなく感無量、この感覚はマニアにしか分かるまい。「あの辺りは安兵衛っていうのがいっぱいあるからね」???あ、そうか。高田馬場の決闘!堀部安兵衛にちなんだ屋号だったんだな、なるほど〜。

それにしてもこの爺さん、急に相好を崩して…すごい優しい笑顔をするっす。こんな優しい笑顔をする爺さんは見たことがない。若い頃は超モテだったんじゃないかな…本当にみものっす。っつー訳で、ぜひ神田川ゆかりのこの安兵衛湯屋号入りの体重計と、優しい笑顔の爺さんをみに、一度この銭湯に来るべし!

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(2003年1月)