辰己湯


(これで銭湯って分かるかな…)

aqua.gif (191 バイト) 場所 地下鉄 清澄白河駅 徒歩5分

yellow.gif (192 バイト) 辰己湯ホームページ

いや〜…ヘンな銭湯だったなあ…

清澄白河の辰巳湯へ。しかし大江戸線の駅って長ったらしい名前が多いっすねえ。辰巳湯、この銭湯もかなり昔からホームページを開設しているんだが、はっきり言ってあのページからはいい銭湯なのか悪いのかイマイチ分からないっす。商業ページっつーより自己主張のページっすね。駅から5分ほど、清澄通りから少し入ったところに「ゆ」の看板発見。完全ビル銭湯っす。

一見、現代風のニュー銭湯。正面に花が生けてあり、落ち着いたいい感じ。だが…何かヘン?この入り口の両側に「男」「女」の表示があるんだが、あたかも公衆便所のような無機的な表示。なんかヘンだなあ。下足板の鍵はSAKURA‐G。


(ヘンってほどでもないんだが…やっぱりヘン?)

中にはいると、番台ひっくり返したようなフロント形式。ニュー銭湯なのに、何でわざわざこんな形にしたんだろうか。とりあえず銭湯代400円に、サウナ代が…215円?この中途半端な金額はいったい何?消費税分っつーことでもないだろうしなあ、385円時代の名残か?サウナ代を払うと、下足板と引き換えにバスタオル、引っ掛けキーを貸し出してくれるっす。なんか普通のところと、ヘンなところが入り混じる。

で、この脱衣場。ビル系ニュー銭湯ながら、天井高い余裕の空間。入ってすぐに木の立派な椅子とテーブルの休憩スペース。大画面のTV。大きな鉢の灰皿。立派なものっす。さらに一角に庭風っつーか、そんなスペースがあるっす。ロッカーの鍵はSAKURAVのシリンダ錠でなんてことないんだが、このロッカーが…綺麗な木で出来ているっす。一般人は気が付かないだろうが、銭湯マニアとしては珍しい感覚。その上に水槽で…ロッカーの上にビニールのテーブルクロス?これまたマニアの目で見れば珍しい。

浴室へ。っつーか、この浴室に入るドアが、また木の立派な戸、これまた珍しい。浴室天井はビル銭湯にしては高いんだが…冬のせいか?天井が湯気でまるで見えないっす。銭湯に湯気があるのは当たり前だが、天井構造を観察できないくらいの湯気は珍しい。しかも照明は強い、っつーかモダンな雰囲気重視の照明。不思議な空間。

浴室構造もまた変わっているっす。江東区、っつーか下町の銭湯っつーと、悪いが少々バカにしてた部分もあったのだが…なぜかっつーと「風呂屋なんってえのはこれでいいんでえ」なんつー人間ばっかりで、没個性な似たような銭湯ばっかりなんだろうな、っつー印象があったっす。ま、マニアでもない限りあちこち行かないだろうから、似たような銭湯ばっかりでも全然問題ない訳だが…しかしこの銭湯は…変わっているっつーか、ヘンだ。真ん中に一槽の大きな主浴槽。カランは周辺を取り囲む。

桶も椅子も普及型。出入り口近くに冷温立ちシャワーブース。カランは銀色カラン、シャワーは…このシャワーもまたヘンなんだよなあ、一応ハンドシャワーなんだが、ホースの途中が引っかかっていて、長く伸ばせないようになっているっす。説明が難しいんだが、とにかくそんな感じ。湯量、湯温はOKっす。

そして最奥部の壁にはモザイクタイル絵。こう書くと、ごく普通の銭湯っぽいんだが…この絵も「なんか」ヘン。裸婦が何人も川に向かって飛びこんで泳いでいるっす。この光景を橋の上から眺めている群集?これはいったいなんだろう?裸婦っつーことから、お堅くなく、ある程度遊び心を持ったオーナーっつーことが分かるが…別に目立つ絵ではないが、何かヘンだぞ。

ま、とにかく風呂だ。この銭湯は設備的にはかなり充実っす。まず主浴槽へ。温度は42〜43度っつーごく普通のニュー銭湯系。バイブラ半寝湯が2機、噴出良く気色良いっす。っつーかこの銭湯、メンテと清掃はしっかりしてあって、この辺りしっかりした印象を持つっす。その隣がデンキ風呂。デンキはまずまずなんだけど、電極間が相当広いので、真ん中だとかなり弱いっす。その隣に5点式の座ジェットが2機、足裏噴出もあってぐーなんだけど、この形状がまたちょっと見ないタイプ。

そして露天へ。これまた立派な露天、建材にカネかけてるよな、この銭湯。岩風呂風になっているっす。2槽あって、手前が水風呂、奥が湯なんだが…まずこの水風呂が…いったい何?あまりに浅くて、寝ないと身体を浸せないっす。真ん中に打たせ湯、っつーか打たせ水。水温は20度くらいでまあGOOD だが、この浅さはいったい…もしかして、もともと打たせ湯コーナーだったのが、水に切り替えたのか?

その奥に通常露天風呂。これは42度くらいのいい湯、外気も十分、外は立派な庭、気色いいことこの上なしだが…あれ?向こうはいったい何なんだ?露天外部に、ちゃんとした「小部屋」、木の長椅子に木のテーブル、さらに灰皿?そして…TVまであるぞ。露天の休憩スペースにしてはあまりに立派。もしかしてここは「外」なのかな、と思ったが…この小部屋、浴室からいったん外の露天部に出ないと入れない構造?そんなところに立派なスペース、謎だ…こんなの見たことない。

サウナへ。引っ掛けキー方式、いっぷう普通の乾式サウナなんだけど、これまたちょっとヘンかも。残念ながらTVはなし、演歌が流れているっす。砂時計が一つ。3段になっているが…これが奥が長い、っつーか一段の幅が妙に長いっす。サウナの壁の板も、良く見るタイプのものではないっす。

妙にヘンなキブンになって、帰りにドリンクチェックも忘れてしまった…っつーかこの銭湯、ドリンク置いてあったんかいな?それにしても…細かいディテールがなんかヘン。普通の人と一緒にいったら「え?どこがヘンなの?いい銭湯じゃん」っつー程度のヘンなんだが…マニアは一度いって、この違和感を楽しんでくるべし!施工業者が違うんだろうなあ。

「みんなのいえ」っつー映画見たことあるっすかね?あっしは田中邦衛自体あんまり好きではないが(でも銭湯ファンなんすよね)、あの役回りはゲロ出るくらい嫌いっす。「こんな家作ったことねえ」「家ってのは昔からこういうもんだ」で、施工主の意向を拒否する職人?あっしは「頑固なのがいい職人」なんて考え全然ないっすねえ。後から評価されるゲージツ家ならともかく、客商売な訳なんだから自分の考えを客に押しつけてはイかんよ。ちゃんとした理由があるなら、商売人がちゃんと客に説明して納得してもらわんと。この、「消費者の視点より生産者重視」っつーノリが関東保守文化のはしはしにあるような気がするっす。あるいは客の方も横並び主義なんかな?対して関西は消費者重視、お陰でヘンなものも多いが、オリジナリティ溢れるし、ばらつきが多ければ淘汰が進むから最終的にいいものが残る。

とにかく、「目立たないオリジナリティ」沢山の銭湯。でも、風呂自体は大変綺麗に手入れしてあるっす。それにしても今時珍しく、たっぷりカネを掛けた銭湯っつー感じ。設備的にはむろん星付きだが、このユニークさに一票、江東区初の星二つっす。


(こりゃあんまり銭湯って雰囲気しないよなあ…)

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やすの紹介ページ

(2003年1月)