用賀浴場

2002年9月28日をもって廃業しました

aqua.gif (191 バイト) 場所 東急新玉川線 用賀駅 徒歩10分

用賀の用賀浴場に行ってきたっす。用賀駅からSBSタワーの方に下車、足もとの用賀商店街を抜けて北へずんずん、駒大付属高校の手前にあるっす。このあたりにくると23区といえども緑が多くなるっす。っつーか、結構田舎だよな。緑の中に閑静な住宅街。こんなところにあるのか?と思っているといきなり巨大煙突登場。駅から徒歩10分っつーところか。

用賀近くの栄湯は寺社造りの立派な建物だが、この銭湯は…はっきりいってボロいっす。寺社造りでもない。相当にB級の生活感が漂う銭湯っす。ここはどうやって入るのか?と迷うが、バスどおりから大きく回りこみ、しかも小さな路地を入ってやっと銭湯入り口。正面には「用賀浴場」のガラス。

脇には廃材が積まれている。タンクもはっきりいって、相当ボロであるっす。この小さな路地に、これまた庶民的な食堂が正面に向かってある。ううむ、駅から離れた住宅街の中に、こんなにBC級の一角が。いったいこの街は、昔どんな様子だったのだろう?都心から相当離れたこんな辺りに、貧乏アパートが結構いっぱいあったのかなあ。どんな仕事をしている、どんな人間が暮らしていたんだろう?過去を思いやると疑問は尽きない。

さて、牛乳石鹸の七福神の暖簾をくぐる。正面は傘入れだが、その上に神棚。下駄箱は左右に男女別れているが、この鍵のメーカーが「anar」っつー古いメーカー(たまに見かけるっす)。一部壊れて、新しい松竹錠に交換されている。しかし、下足板のメーカーにまでこだわるようになると末期だよなあ。

戸をあけて中へ。当然番台スタイル。まだ開店して間もないらしく、タオルを頭に巻いた旦那が脱衣場をうろうろして「おおい、お客さんだよ」奥様らしき人が番台に登る。しかし、銭湯の旦那っつーのは、頭にタオル巻いてシャツ姿っつー人が多いなあ。やっぱり釜場はこの時期暑いんだろうなあ。

脱衣場はかなり広々としている。脇に丸い脱衣籠がつんである。縁側があるが、まあ鑑賞用の庭っつーものはなく、資材置き場になっている。脱衣場の脇はロビーでソファとテーブル、1010が少々積んであり、ウチワと灰皿。その脇に機能していない洗濯機とぶら下がり健康器。マッサージ機が一台。センターには、昔風のアイスクリーム冷凍庫の形をしたドリンク冷蔵庫。半分はビン牛乳が占拠している。脱衣場の天井は低い。凝ったつくりではない。TVは小さ目のTVがテレビ台に置いてある。

少し銭湯に行きなれた人間ならわかるだろうが、要するにB級の生活感があふれる銭湯なのであるっす。こういうのも、なんとも懐かしい気がして悪くない。脱衣場のロッカーは、TOKYOとかいうあまり見ないロゴが入っている。○にカミナリマーク。鍵にはゴムバンドがついている。

さて、広々とした脱衣場を抜けて、早速誰もいない浴室へ。ううむ、早い時間の空いている銭湯は気持ちがいい。見ると、さっきの旦那が大きな掻き混ぜ棒で湯をかきまぜている。なるほど、あの棒はこねくり回すように使うのか。見ると蛇口から水がジャージャー出ている。ちょっと熱すぎるかと、あっしに気をつかって混ぜてくれているようである。

カランは6角の良く見るタイプ。窓側から5556の配置。シャワーはセンターの一列にしかない。桶はケロリン。鏡はかなり古くなっている。いや〜、余計なもののない銭湯っす。

そして天井は…これまた珍しいタイプ。2段になっていることはなっているのだが、上の段がやたら広く、フラットである。下の段はほとんどオマケのようについている。なかなか変わった天井。このため浴室空間はかなり広い。ペンキは相当古くなっていて、ところどころほころんでいる。

さて、浴槽へ。2槽式、片方深風呂、片方浅く広く、古いタイプのジェット、要するに超音波っつーやつか、アレがついているタイプ。一箇所赤いランプがついている。ところで、浴槽内に赤ランプがついている風呂って多いけど、あれってなんのためなんだろうか?

旦那が釜場に消えたのを見て、速攻で蛇口を締める。旦那の思いやりはありがたいが、あっしは熱い湯が好きなのよ。おそらく熱いであろう深風呂の方の温度計は、静かに45度を指している。まだ明るく、誰もいない銭湯の静けさ。神々しいキブンになってくるっす。

まず浅い方へ。こちらは43度強くらいかなあ。ゆっくりと浸かる。壁画は富士山とウインドサーフィンのペンキ絵。男女の境はよくあるタイプの洋風の景色のタイル絵。お湯にちょっと色がついている。これはおそらく、温泉ではなくて、あの外にあるボロいタンクの配管からの色ではないだろうか。

続いて深い方へ。こっちはやや熱く、温度計どおり45度、いやそれより少し低いかな?深風呂の脇にはさっきのかきまぜ板が置いてある。なんか不思議な光景。まだ電話番号が上三桁の広告が少し残ったままになっている。

さて、脱衣場に上がると、たった一人の客に気をつかって女将さんが扇風機のリモコンスイッチON。こりゃパワーのある扇風機だなあ。ビン牛乳を買ってロビーで一服。番台女湯側では、地場の姐さま方の世間話が聞こえる。「やっぱりお風呂はいいわよね」

っつーわけで、B級庶民派レトロ銭湯っす。2000湯のS氏から「番台型の銭湯は早めにいった方がいいよ、フロントはまだ続ける意欲があるところが多いけど…」 なんっつーアドバイスをもらったが、この銭湯も早めにいった方がいいかもしれんぞ。味わい深い銭湯っす。


(煙突の向こうにSBSタワーが。しかしボロい銭湯。)

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(2000年7月)