18話   ちいさな花畑

 何年か前のことである。近所の交差点で、信号無視で突っ込んできたワゴン車に、女子中学生がはねられ、亡くなった。

 その交差点の信号機の下の植え込みには、いつも花束が捧げられている。一度その場所で、合掌している数人の女の子たちを見かけたことがある。同級生でもあったろうか。
 今日、傘を差して本屋へ出かけていった帰りにその交差点を渡った。植え込みのところには、それまでは気が付かなかったのだが、ささやかな花畑ができていた。50cm四方くらいのミニガーデンである。白いプラスティックの柵も植え込まれていて、名前は知らないが、しづかに降り続く雨の中で小さな白い花が楚々と咲いていた。

 もう高校生になったかっての同級生たちがおそらくは作ったのだろう。
 彼女たちの心の中では、中学生で人生を終わってしまった友人も、きっと一緒に生き続けているのだろう。

 翔け抜けていった人に、やすらぎを。それを送り、偲ぶひとびとに元気を。

 その小さな花畑の上に、ビデオショップの立て看板が倒れかかっているのを取り除きながら、そんなことを思った。


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