19話   怒りの、本格焼酎党
 はらただしいことに、焼酎の値段が上がって、ウイスキーの値段が下がった。

 小生は酒類ならなんでもウエルカムというわけではない。以前書いたように合成みりんなぞは飲めないし、合成酒も極貧の学生時代に飲んでは吐いていた程度である。嗜むのは、なんといっても焼酎。それも九州薩摩の本格焼酎に限る。焼酎ブームとか騒がれたおりに、皆が飲んでいたいわゆるホワイトリカー類は全然ダメである。ましてや、何が哀しくて梅干しやレモンをいれたりするのか理解に苦しむ。

 薩摩にはいわゆる清酒メーカーというものが一軒もない。県下150余りの酒造メーカーはすべて本格焼酎を作っている。一部の大メーカーを除いてほとんどが弱小な「おいどんの村の焼酎屋」である。

 従って酒税改革とやらで、ウイスキーメーカーが喜んでいる陰では鹿児島の田舎のじっちゃんばっちゃんメーカーは泣いているのである。これではまるで外国のトラの威を借りた大企業厚遇政策ではないか。
 鹿児島の焼酎屋は力を合わせて県庁を突き上げ、独立して大薩摩焼酎王國を創立し、国分の第12普通科連隊と都城の43普通科連隊と呼応し、さらに連合艦隊(旗艦は、そうだなあ、戦艦桜島かな)を作って中央政府と一戦構える覚悟が必要であろう。

 冗談はさておき、ここで書こうとしたのは、「分を知る」ということであった。

「いいちこ」や「きっちょむ」など、鹿児島以外の大メーカーが電通のマーケティング戦略にのっかって東京進出を果たし、マス広告によって盛んに販路を拡大し、大量の商品を関東に送り出しているのはご存じのとおりである。そして、その商品たるや、たまらないくらいに味が下落しているのも事実であると言わざるをえぬ。実は、これらのメーカーはいわゆる「桶買い」とか「倉買い」といって色々なメーカーの商品を買い集め、ブレンドしているのだが、このことがやっと知られるようになってきた。そして、その原料酒のほとんどは、わが薩摩で生産され供給されているのは残念なことではある。

 それぞれのメーカーが、それぞれのお国元で、「分を知って」造り、県民に供給していたころの深みのある個性的な味は失われてしまったのか。

 情けないことに、わが薩摩の代表銘柄も県外輸出用のものは、とても飲めたものではないという時期があった。うまみの元である芋風味を消し、砂糖を加えて口当たりを良くすることで「ニーズを創出」したのだと聞いた。
 それをもまた「マーケティング」なのだろうか。その後、この県外バージョンは止めたらしい。
 我が家の焼酎のストックも切れている。鹿児島のからの直送宅配で注文しなくては。

 あ、今日は禁酒日だ。


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