23話   てげ、てげに

 てげてげ、という言葉がある。

「まあ、ほどほどに」という意味の、鹿児島弁である。良くも悪くも使いようの言葉であって、

「ありゃあ、てげてげな奴じゃ」といえば、いいかげんな奴という悪口になるが、むしろ薩摩の人々はこの言葉を、

「ま、てげてげにしておかんな。あんまり根を詰めると体がもたんよ」というふうに、やわらかい使い方をする事の方が多い。

 気張りすぎてストレスをため込み、仕事で落ち込み、あるいは焦っているときに、「そいでもけしませんが。てげてげでよかとお(それでも死にはしないよ。ほどほどがいいのさ)」
 という、ゆっくりしたイントネーションの鹿児島弁を聞かされると、(それが妙齢のおごじょ=娘御の声ならとりわけ)焦って自分を失っていたことが、なんとなくバカらしくなってくるものである。
「てげてげ」という言葉は、たいせつな物はなんだろう、と自分に考えさせてくれる言葉である。せっぱ詰まっていたり、仕事や人間関係に悩んでいたり、そういうときにはちょっとつぶやいてみたくなる言葉である。

 だが、せっぱ詰まっているのが経済状態のときには、あまり効果は無いかもしれない。したがって、今日とか明日とか、こんどの給料日までは「てげてげ」なんて言ってないで、一所懸命に倹約しなきゃあ!


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