213話 4.9
花と拳銃
 窓の外には、爛漫の桜の花びらが舞っている。まさに春本番だ。上野のお山や小金井公園など、桜の名所はもとより、町々のちいさな公園でも桜が咲いているところはもれなく花見の客で賑わっているだろう。

 重厚な「魔王」、こくの深い「天誅」そして、静かなうまみの「佐藤(黒)」などいずれも格別に美味しい本格焼酎だ。そして、この「百合」には、またそれらとは違った味わいの深い印象があった。
 

 まず、常温で生で飲む。なめらかな口当たりの焼酎だなあというほどの感じを受ける。薩摩の芋焼酎のうまみをちゃんと持っているなとは思うが、さほどの変わった印象はない。次にお湯で割ってみる。

 お湯で割った途端に、香りが違うことに気づいた。お湯割りの一口目で、薩摩の芋焼酎とは思えないこのネーミングを納得してしまった。

 四割の湯で割った「百合」の味に感じたのは、たとえれば懐かしい故郷の春の野を揺らす微風とでもいえる暖かさだろうか。造り手の慈しみが味わいとして感じられる、そんな焼酎だった。聞くと、鹿児島の甑島(釣り人には垂涎のフィールドでもある)で、家族でささやかに造っている焼酎だという。特に、麹はその家のお婆さんが、ひとつひとつ手でもんで花咲かせているとか。

 82才にして矍鑠たる塩田妙さんに感謝しつつ、しばらくは楽しませていただこう。

 ところで、この手控えのタイトルは、何だ?え?
「拳銃」ってのは何の関係があるんだい!------と疑問のむきもあるでしょうな。  拳銃は、さきの手控え「花といえば、酒」の挿し絵に描いたキャラクター「芙蓉」のテーマでございます。今回もちょっと描いたものを掲げてみた。

 小生は軍用小銃は撃ったことがあるけれど(外国で、です。念のため)、拳銃射撃の経験はない。芙蓉のキャラ設定のためにちょっと研究してはみたが。だが、以前描いた絵を横目で見て笑った専門家もいた。13才の女児が、45口径のガバメントを横撃ちできるはずはないと指摘するのだ。こういうやつに反論してもしかたない。この次は芙蓉にRPGを撃たせて見ようか。(RPGが分かったあなたは、そうとう変)

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