手控え258話(13.3.11)より
考える犬

なぜサイドカーが・・・。約20年前の写真
スズキGS400に自作のカーを付けて。

 漫画である。講談社の『モーニング』に連載されたものだ。作者は守村大。1巻から10巻までを昨夜一気に読み、先ほど15巻を読了した。え?11巻から14巻はどうしたのかって?はい、このひとりごとを読んで戴ければわかりますです。
大門寺文左衛門(凄い名前だな)は大衆週刊誌と思われる『サンライズ』の編集長だ。ポールニューマン風でクール。仕事はデキるわ女性編集者たちにはモテるわ男性編集者からも深く信頼されているわとすっごいキャラクターなのである。ヨメはすこぶるつきの美人で、三人の娘たちもそれぞれ素晴らしい性格。ここまで読んで嫌になったあなた、そう、いくら作り話とはいえ守村サン、やりすぎと思うでしょう?
 ところが、ここに犬が登場してくる。なんとかいう巨大犬種だ。主人公の文ちゃん(彼は家族にそう愛称されているのだ)が自分で拾ってきた捨て子犬だった。みるみる巨大化していった紋次郎(これまた凄い名だ)というこの犬、恩人であるハズの文ちゃんを家族の序列の最下等に位置づけている。
 
 この漫画、家族の厚い信頼と愛情とのなかで、なかなかの男ぶりを見せる文ちゃんを描いて深いものがある。絵も達者だ。バイクの描写には、乗っていなくては描けないリズムもきちんと表現されている。紋次郎の蔑視と家族の愛情との狭間に棲む文ちゃんを、ユーモアと時にペーソスを感じる筆致で描いて読者を飽きさせない。と、ここまでは10巻を読了して分かった。だが普段ビッグコミックしか読まない小生が、ビニ本状にラッピングされた漫画単行本を10冊(その本屋にあったすべて)買い込んだのには理由がある。

「なんだ、また焼酎がらみかよ?」ってお考えのあなた、そうです。正解です。
 実はこの漫画で「鹿児島の本格焼酎」が取り上げられているからだ。本格焼酎の応援サイト「全日本焼酎普及振興個人」を運営している個人さん(ハンドル名)が某所の掲示板にそう書き込んだのを見て、ちょっと気になっていた。白金酒造が実名で登場するよと聞き、ちょうど「石蔵」を買い込んだばかりだったので、思い立って本屋に走ったのだ。
 拙速は巧遅にまさる、というが、この場合裏目に出た。個人さんのサイトには、焼酎が登場するのは第15巻目だとちゃんと書いてある。それを確認せずにとりあえず全部買ってきてしまった。だが、10巻まで読み切っても、焼酎の二文字がない。ぜんぜん、ない。

 鹿児島の友人が当ひるね蔵酒亭の掲示板で、「15巻目ぢゃっど」とご親切に教えてくださったので、どうにも我慢できずにまた本屋へ。三軒目でやっと15巻を発見して購入した。さきほど読了。
 感想を結論的にいうとですね、「わっぜえすばらしか取材とその結果」を楽しませていただきました。

 鹿児島県出身者として「本格焼酎」をあらためて誇りと思い文化と信じる気持ちを掻き立ててくれた、そんなお話に仕上がっていた。なんといっても、白金さんの蔵がちゃんと描かれている。漫画に登場する杜氏さんの名は黒瀬としか書かれていないが、もちろん「石蔵」の黒瀬東洋海氏だ。平成12酒造年度の優等入賞者リストにその名前が、その酒とともにあった。
 西酒造の蔵の様子や、陽一郎専務も実名で登場していた。氏とは、金曜の夜たまたまとはいえ同席して飲んだばかりだったから、印象ひときわの感があった。

 さて、鹿児島でも紋次郎をパッセンジャーに、サイドカーを駆って活躍した文ちゃん、(そうそう、忘れていたが、文ちゃんはサイドカー乗りなのだ)漫画の設定では、埼玉県所沢市にすんでいる。個人さんが「秘剣さんのキャラに似てるとちゃいます?」的なことを仰っていたが、所沢市民でサイドカー乗り(過去含む)という点はそう言えるかも知れない。ですがね、文ちゃんのサイドカーは絵から察するに、BMWのR100RSにオーストラリア製のモノコーチだ。家は航空公園駅近くの豪邸だ。と、ですね、この二点だけでもじぇんじぇん違う。仕事ができるという点でも、同僚部下上司の評判がいいという点でもこれまた違う。小生、むしろさゆりちゃん(文ちゃんの奥さん)の極道おやじとハーレーライダーの大吉さん(文ちゃんの父親)に憧憬を覚えるな。
きょうは禁酒日。あすのダイヤメは「石蔵」だ。

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