11月
上燗
●本格焼酎というネーミングに先人の苦労を感じます。

11月1日は「本格焼酎の日である。
昭和62年9月、九州で開かれた本格焼酎関係者の会議で制定された。焼酎は酒税法上「甲類」と「乙類」に分けられる。だが、徴兵検査でも「甲種」と「第一、二乙種」、「丙種」は並ぶ場所すら違っていたと言うから焼酎の種類に位と勘違いされるような名称をあてるのはいかがなものかという考えから、原料の風味を活かす乙類を「本格焼酎」と呼ぶようにしたのである。本格焼酎の本場鹿児島酒造組合のHPには黒ぢょかで飲み顔を赤らめる「本格焼酎クン」のアニメがある。精酎組電脳参謀A氏のプロデュースで作成されたもの。しかめ面をして御託をならべる都会の焼酎通の方々、あのおおらかさこそ焼酎の基本です。

●くいねえ、のみねえ・・・寿司と焼酎も相性はバツグン。

11/1は全国すしの日。昭和36年、全国すし商環境衛生同業組合連合会が制定したもの。新米の季節であり、ネタになる海や山の幸が美味しい時期であることからというがあまり必然性はないかも。ちなみに中国語では刺身を「生魚片sheng1 yu2 pian4」というが、スシは「寿司」です。寿司をつまみに(というより食事しながら)飲むなら「さつま寿」でしょうか。尾込さんちもりっぱな工場になったと聞いた。神座と寿、味のほうも頼みます。

●北海道第七師団は焼酎軍団

11/1は自衛隊記念日。昭和29年防衛庁設置法及び自衛隊法施行を記念して制定された。施行日は7/1だが、7月は台風その他の災害が多いため11/1にされたというご都合主義が自衛隊らしい。九州出身者が圧倒的に多い自衛隊ではまた幹部の異動は凄まじいほどである。二三年に一度は全国各地へと転勤する。
家族を残して北海道からはるか熊本の師団司令部に単身赴任した友人もいたし、入間から三沢まで10数分で異動した隊員もいた。後者はファイターのパイロットです。自衛隊記念日を記念して飲むなら、なんだろう?観無量あたりかな。

●明治は遠くなりにけり

このおなじみの一節は、中村草田男の句で「降る雪や」と前につく。昭和6年の作で、二・二六事件の年に発刊された句集「長子」に所収されている。
11/3は、文化の日昭和21年「日本国憲法」の公布を記念して昭和23年公布・制定の祝日法で「自由と平和を愛し、文化をすすめる」国民の祝日に定められた。
本来は明治大帝の御誕生日を奉祝する「明治節」である。明治どころか昭和も遠くなり平成の御世ももう16年を過ぎようとしている。明治の正中をぐいっとやって来し方を偲び行く末を案じませウ。

11/3はみかんの日でもある。農林水産省・全国果実生産出荷安定協議会が制定した。12/3と年2回実施される。蜜柑は中国語では「橘子ju(1声) zi(軽声)」と言う(橘は桔とも書く)仮名で書けばジュイ・ツとなる以下「食品広場」から引用してご紹介する。
ミカン類の原産地は約3000万年前のインド、タイ、ミャンマー(ビルマ)あたりとされているが、最初に栽培を始めたのは中国のようで、紀元前22世紀の文献にその記述が残っているという。カンキツ品種の概念もやはり中国が最初で、なんと約4000年前の栽培史には、カンキツ品種を柑、橘、橙に分け、柑18品種、橘14品種、橙5品種とし、その特性までもが詳細に書かれている。「温州みかん」は鹿児島が原産らしい。全国にひろまったのは明治になってから。「種なし」だからだそうだ。理由は頷けます(^^;)。

●蒼ざめた馬・・・テロリストにもいろいろある

11/7はロシア革命記念日である。大正6年(1917)、ソビエト政権が樹立されたその同じ日に全ロシア・ソビエト大会で人民委員会が設立され、レーニンが議長に就任した。
彼らを助けて革命をすすめ、ロシア皇帝を悩まし、バルティック艦隊を疲弊させたうえ撃滅にいたらしめた日本外交の切れ味はもはや霞ヶ関や永田町に巣くうその子孫達には継承されていない。中国に阿諛、いや阿南あり、北に対するに田中菌、いや金、いや均あり。情けない限りである。天誅、いやいや、ここは穏やかに維新回天を達した戊辰戦争を偲んで岩川の酒私領五番隊をストレートで。

●良い刃物はよく切れる。人と一緒。

刃物の日として11/8を制定したのは、岐阜県関市・岐阜県関刃物産業連合会・新潟三条庖丁連・越前打破物協同組合・東京刃物工業協同組合・京都利器工具組合・高知土佐山田商工会・島根県吉田村・堺刃物商工業協同組合連合会である。大連合である。
「いい11は8」の語呂合せであり、またふいご祭が行われる日であることからこの日となった。生活用具としての刃物、戦いの道具としての刃物、儀式用の刃物など洋の東西をとわずそれぞれの土地・文化なりの発展を遂げてきた。
新石器時代、紀元前3500年の玉で作った鉈や夏・商のころの矛(16年11月迄、国立博物館の中国宝物展で見ることが出来る)などを見ても、道具・武具としての形の基本は今と変わらない。変わったのは戦後日本の勘違いといっていいモラル
子供に刃物を持たせない」と称して刃物追放運動が日教組によって全国で展開された。しかし、刃物はただの道具だ。道具が悪いのではなく、問題はそれを使う人間のほうにある。そんなこともわからない教組と役人が凶悪事件をおこすガキを作ったといっていい。
自分で指を切ったりして、子供は刃物のじょうずな使い方をおぼえるのであり、痛さと正しい使い方を覚えるのである。ただの道具といったが、わが日本刀についていえば、闘争の道具という範疇を超えて精神的な存在・芸術にまで昇華していると言えよう。
刀を鑑賞しながら酒を飲むわけにはゆかないから、ここは「薩摩拵」のページを捲りながら「」や絶版となった「斬新明鏡」をいただくことにする。

●あまりいい歯ばっかりでもね。

11/8は、いい歯の日である。日本歯科医師会が制定した。「いい(11)は8」の語呂合せですね。わが酎友にして無双ののんごろ、加世田のにっしーさんは歯科医として患者さんの治療はもとより教育機関での講義や広汎な啓蒙活動にまい進しておられるが、虫歯を予防して健康にという活動が目的をまっとうしてしまうと、仕事のほうは大丈夫かと心配にもなるのである。
すこしくらい甘いものも食べて、寝る前には歯磨きを忘れるくらいのほうがいいのじゃないか?子供たち。

38度線が崩壊するときはいつ?

1989年の11/9は、ベルリンの壁崩壊の日である。東西ドイツの統一や東欧の国々の民主化、冷戦の終結のきっかけとなった。この年のクリスマスにはルーマニアのチャウセスクとその妻が処刑され写真が公開された。そして2年後の1991年12月21日、ソ連が崩壊した。ルーマニア「人民共和国」の独裁者が倒れたのは国防軍が市民の側に立ったためだった。北の将軍サマは視察先の部隊の兵隊達の銃から撃針を抜き取らせるそうである。部隊の指揮官と政治士官が結びついたらどうなるかを恐れるのだろう。どういう可能性もある国である。こんな「人民共和」国の支配階級に10トン大型トラック2万5千台分の米を送り、独裁者の延命を助ける愚かな国もある。

●形態的語呂合わせかな?

11/11はピーナッツの日。昭和60年全国落花生協会が制定した。新豆を使った落花生が市場に出始めるのがこの頃で、ピーナッツは1つの殻に2粒の豆が入っていることから、1がそろったこの日を選択した。
この日はまた鮭の日でもある。昭和63年ごろ新潟県村上市が制定した。市内の三面川は鮭の捕獲地。「鮭」の旁の「圭」を分解すると「十一十一」になることから。ほんとうに色々と考えるものですね。こふたつとも焼酎のアテにはなかなか。鹿児島で「だっきしょ」という(地域で違うかも)落花生は塩で煮てうまい。炒りあげてもいい。香ばしくバターに加工して揚げトーストに塗ってもいい。鮭はアウトドアでちゃんちゃん焼といきましょう。ちゃんちゃん焼の本場は北海道ですが。黒糖の原酒をストレートで。「らんかん」ならぴったり。

●この頃きものを着ていますか?

11/15は七五三である。男の子は数えで3歳と5歳、女の子は3歳と7歳の年に、成長を祝って神社に参詣する。3歳は髪を伸ばす「髪直」、5歳は初めて袴をつける「袴着」、7歳は本仕立ての着物と丸帯という大人の装いをする「帯解または紐落」をそれぞれ祝う意味がある。
この日はきものの日でもある。昭和41年全日本きもの振興会設立の時に制定された。七五三の日に、家族そろって着物をとの願いからですね。アメカジでもヨーロピアンカジュアルでも結構ですが、和服で酒を酌む、という風情も捨てがたい。ある程度の年齢と経験が今の時代なら必要なんでしょうが、いつかはかんかん帽と白絣、中折れ帽と木綿の合わせで暖簾をくぐってみたいものです。飲むのは「万夜の夢」でどうでせう。

(11月下燗に続く)


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