相模湾ふたたび!シャクリ五目で六目!


思えば、最後に海を見てから半年

釣りのページであるはずのひるね蔵も

ついにオヤジの愚痴ゴミサイトとなるか

い〜や、それではならぬ

そして、七夕の早暁

ついに荒ぶる魂は相模湾に降臨した


 船の底を打つ波の音にも、群れ騒ぐカモメの鳴き声にももうずいぶんご無沙汰しているなとふと気づいた。思えば去年の12月以来海を見ていない。いかんな、仕事にかまけて潮風を忘れるとはとんでもない。このままではろくな人生はおくれないぞ。

「あしたは、七夕だから、会社休んでいいっすか?」そう仕事場のみなさんに聞いてはみたものの不思議なことに誰も相手にしない。無言のシカトとみえるが実はそれが仕事一途に歩み続ける小生への深い同情であり申し出への首肯であることを小生はたちまち理解した。ありがとうと心でつぶやき、ちょうど出張中の上司のデスクの上にさっさと休暇届けを出した。小生、仕事とちがいこういうことには素早いのだ。

翌朝、午前2時半に起床。老ジープのエンジンは久しぶりに咆哮し、3時には一路相模湾にむけて出発した。神奈川県三浦郡葉山町の長井あぶずり港への現着は午前5時10分。やはり平日の早朝ってのは道も空いている。すでに先着の友人がふたり、船に竿をたてて待っていてくれた。船宿は秀吉丸、去年最後に釣行した船宿である。6時出船。行程わずか6分の長井沖。江ノ島がはっきりと見える。空気が透明だ。風は北風、小さな波が騒いでいるが釣りには影響ない。ここちよい爽やかな風だ。空は青い。しかし、遥か相模湾まできて大枚はたいて船に乗り、空ばかり見ているわけにはいかない。早速釣りの仕掛けを準備する。船宿で購入したウイリー仕掛け4本針の下ハリは空ハリにした。オキアミをつけて鯛を狙うのだ(前回それで船中一枚の鯛を釣った人がいた)。

魚深には中層に反応が濃く出ているという。35メートルダチで上から25mまで降ろし、そこから15mまでゆっくりとしゃくった。第一投でシャクリ始めてすぐにごっつんというアタリ。小刻みな引きはアジのものだ。しかも結構強い。これは大アジだな、さい先がいい。

楽しみながらリールを巻き、念のためにタモでとったアジは約30cmほどの良型だった。第二投ではさらにサイズアップしたアジ。そしてそれ以降、アタリがばたっと止まった。ひたすらシャクリ続ける。アタリはない。こんなとき、常道ではないかもしれないが、いろんな試みをしてみるのもいい。もとより釣りに常道なしだ。オキアミと赤タン(イカの切り身を食紅で染めて、3、4mm角に切ったもの)を付けて海底を探ってみた。狙いにたがわずかわいらしいアタリで上がってきたのは釣り人のお友達のネンブツダイ。タイと名が付くが4、5cmの小魚である。「さかな大事典」では美味と評価しているが、こいつをクーラーに納めるのはいかにも哀しい。ハリをはずして空に放り投げる。カモメがさっと舞い降りてきて上手に嘴でキャッチする。カモメの好物か、ホントはおいしいのかもしれないななどとつい思ってしまった。

ヒマである。ちっとも釣れない。反応はいいんだけれどな〜、口をつかわねえなあと若い船頭がつぶやいている。きのうは良かったのによとも言っている。釣りの言葉に現在形はないから、だれも信用しない。缶ビールが3本目となったとき、海面から4mほどのところで突然竿先が強く引かれた。

こりゃあ、アジじゃないな。サバにしては引きが違う。ふん、案の定だ。海面に波の円を描いて上がってきたのはワカシだった。ブリの子供。ワラサの末弟。イナダが手代ならワカシは丁稚だ。二潮はやかったなといいつつ、それでもしっかりキープする。油で揚げればなんとかなるだろう。

またヒマになった。ちっとも釣れない。

べた底で這わしていた仕掛けに何かが食いついたらしい。二三度竿先が引き込まれ、リールを巻き出すとふっと軽くなった。バレたかなと思いリールを早巻きするとまた急に重くなる。ははあ、これはヘリコプターだ。オキアミに喰ったなと巻き続け上がってきたのは思ったとおりカワハギだった。おまけに一番上のハリに平べったい魚が付いている。カイワリだ。小ぶりだが、こいつは旨い魚だ。煮付けにしよう。それにしても一緒に煮付ける魚が欲しいなあ。

天に願いは通じた。(というほどのものではないが)釣りも終わりの時間に近づいた頃から、イサキの小さいのが一投一匹という調子になった。普段ならリリースするサイズかもしれない。しかし小なりとはいえイサキ、煮付けのネタにはぴったりである。家族の数だけ数えて釣り、キープした。さらに大きなアジを追加してあと五分でお仕舞いというとき、かわいらしいアタリ。上がったのは桜鯛。ネンブツダイほどではないが、外道としてカモメのエサになってしまう運命の魚だ。しかし、この魚が塩焼きで旨いことは知る人ぞ知る。さっさとクーラーに納めた。だいいち、この日の釣りもののタイトルは、タイ五目なのだ。赤い魚がいないことには成立しないじゃないか!

午後12時半、沖上がり。釣果は今一つだったが風も光も眩しいほどの相模湾でたっぷり潮風を堪能した一日だった。

午後5時うちに帰り着く。さっそく岡揺れしながら料理にかかる。大アジ4匹はお造りにした。あらはもちろん潮汁。カイワリとイサキ、桜鯛は下拵えしてかるく包丁を入れ煮付け。アジの白子とタマゴ、カワハギのタマゴも一緒に煮付けた。カワハギにはこの季節というのにたっぷりの肝があり、刺身に和えて酒のおつまみとして冷蔵庫にキープ。(油断すると子供らにとられてしまうのだ)吟醸酒を開け、カミサンと乾杯。子供たちはあっというまに刺身を平らげてしまい、煮付けも片づけていた。

あ、ワカシのことを忘れるところだった。これも一緒に煮付けたのだが、イサキとは逆にホントにまずかった。子供らも箸をちょっとだけ付けて変な顔をした。ワカシには可哀想だがしかたがない。ワカシ束釣り!などと釣り新聞に出る季節だが、もういい加減にした方がいいかも知れない。せめてイナダになってから釣りたいものだ。