人気はカワハギに移っていた。
満員のカワハギ船




たとえば春四月、ぴちぴちの新人OL の入社とともに、割とかんたんに古手のOL たちが男性社員のちやほやの輪から脱落していく、という現象はどこの会社でもあるのだろうなあ。

そして、とうのたったOL たちは、
「おつぼね」さんと呼ぶ、よくわけのわからない存在になっていったりする。
ドラマの場合、「おつぼね」さんたちは、だいたい意地悪な役回りが多いけれども、じっさい、そうなんだろうか。給与生活者ながら、窓際にいて社内事情にうとい、釣りオヤジであった。

人気のカワハギ船(新造の大型船)にくらべると、アマダイに割り当てられた船は、一回り小さい、古い木造船だった。

若い男性の輪から、給湯室においやられた古手OLのような風情が、朝の河岸にもやわれたアマダイ船にはただよっていた。
しかし、アマダイ釣りに早朝から出かけてきたファンは、別にいじけてもいず、たんたんと今日の釣り座をととのえて出船を待つのだった。だが、カワハギ船がぎっしりの満船状態というのに、アマダイ船はほかに5人の釣り人が乗船しているだけだ。
うむ、釣り人一人に、嫁、じゃない、アマダイ10匹。これを「大名釣り」という。
捕らぬたぬき、いや、アマダイの皮算用で、頬がだらしなくゆるむオヤジを乗せて、船は8時に河岸を払った。

釣り場へは、約15分の航程だった。魚探にとらえられないアマダイの釣り場は、船宿や、船頭の秘密の場所であることが多い。この日は、北に剣崎を望む水深30mくらいのところだった。

えさはオキアミ。ていねいに2匹つけて、しかけ、ビシの順番で投入する。
いつも感じることだが、オキアミをいいかげんにつけると間違いなく水中で回転し、ハリスのループ化を招く。こつは「まっすぐ」に付けることだ。



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