本格焼酎ひとりごと
「安くて美味しくてそれで・・・よかと?」


「桂林」は広西チワン族自治区にある風光明媚な土地である。
桂林の山水天下に甲たり、とものの本には載っている。漓江の美しさは十数年前に船でくだったことがあるが確かに身に染みるほどの清澄に満ちていた。天下の奇観ともいうべき山々とともに印象に深い。

ただしその悠々たる景色のなかには人間的なシーンも盛りこまれていた。
船に寄って来る物売りの舟で「みかじめ料」を払っていない農民を観光船の船員(ガードマン兼用)がナイフをふりまわして追い払うのである。
川の上だから、追い払われた農民は口汚くののしりながらも川に放りこまれ、悠久の歴史の流れと一体になって下流へと流れてゆくのだった。

と、いう思い出とはなんの関係もないが、鹿児島のU酒店が愛知県の酒造メーカーK社と組んで「桂林」という焼酎を出した。
一升瓶で1000円。黒麹仕込みの芋焼酎である。中国江蘇州で作られる酒という。桂林とは無関係の場所だが、あの風景のイメージをブランドとしたのだろうか。
日本人の技術者が指導した酒だという。
U酒店の代表と市議会の仲間である知人によると「飲みやすいおいしい焼酎」だったそうな。

味わいがよく価格が1000円となれば、業務店ルートで扱うところは多いかもしれない。
造り手の顔がその後ろに見える「地酒」にこだわる人々には、縁のない酒であるかもしれないが。
報道では「味も品質も日本のものと変わりない」のだという。
つまり鹿児島、宮崎のものと変わりないといいたいのだろう。
そうかもしれない。
だが、味のレベルと価格だけで「焼酎」を語っていいのだろうか。

酒販店の仕事の中には外国から安い酒を輸入するということもあるのかもしれない。
だが、善し悪しは別にして、「気軽に飲める庶民の酒」を追求したというそのコメントに、なにか決定的に見失っていること、欠落していることがあるような気がするのだ。

帰省した折りの「薩摩精酎組」の面々とののんかたを思い出す。
メンバーの笑顔のむこうに何が見えるか。
自分達で造りに参加し汗をかき、そして出来上がった酒に思いを込める。これが地酒の原点だと思う。
おそらくは原価数百円の中国産の「芋焼酎」、そこに関わる人々と地酒への思いは別の物だろう。

写真は「薩摩精酎組」の聖地、居酒屋「鷹」での面々。
酔っぱらっていたのでアプさあのかあちゃんを撮るのを忘れた。すんもはん(^^;)。

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