がんばれ日本酒!〜FOODEX03に思う
平成15年3月22日


ことしの「国際食品・飲料展」は大変な人混みでにぎわった。日本酒ブース、焼酎・泡盛ブース(いずれも日本酒造組合中央会主催)とも全会期を通して盛況だったと聞いた。
日本酒ブースは地域合同での出展や個別の蔵のコーナーに各蔵元からのアテンドがあり、来場者が造り手とじっくり話せる構成になっていた。


会場の熱気はすごかった。試飲コーナーには近づくのも大変だった(写真は02年〜カメラを忘れた^^;)。
イベントステージでは工夫をこらしたメニューがならび興味深い内容だった。
さて、離れた場所にある焼酎・泡盛ブースは、芋、黒糖、米、麦など原料別の商品展示と試飲、それに原料当てクイズといった構成だ。昨年とまったく同じ企画だけれど、来場者の数は本格焼酎ブームを反映してか、空前の規模だったらしい。熱心に展示をみている業務店らしい客を小生も多数目にした。大規模料飲店というよりはスナックや小料理屋の、ママや女将それに店主兼板前といった風情の客が多かった。一生懸命に係員に質問して(しようとして)いる。だがいかんせん説明要員が少ない。

焼酎・泡盛ブースのイベント運営にあたるプロダクションの人間、それにコンパニオンたちはいるのだが、彼らに来場者への説明はできない。キチンと展示品や焼酎全般について語れる組合の係員(動員された蔵元さんたち)は試飲カウンターの中で忙しい。かなり多くの来場者に不満が残ったのではと思った。
原料当てクイズは試飲カップに注がれた焼酎の量が少ないために真っ当な利き酒などできなかった(去年はもっと多かった)。・・・こんなところでケチってどうする(-ー;)。
そして、口をすすぐための水の用意はもちろんあったが、その水がまずい。「浄水」ということが欠落していた。本当に焼酎を好きなスタッフがいればこんなことにはなるまい。
運営面での反省点はもっとあったが、この三点は特に言っておきたい。

三井物産の大ブースに濱田酒造のPRコーナーを発見。
白金酒造や峰の露酒造もあるかと見渡したが、濱田酒造だけのようだった。展示された製品をみて納得。
特別限定酒 ^^;、「なゝこ」のキャンペーンだった。
ピンクのフロストガラス瓶。720mL。最古の麹(黄麹)・酵母を使用、優れた水、木桶蒸留、甕貯蔵といった「差別化可能な」七つのポイントを謳って価格一万円で市場化した製品(@@;)。
ともあれテイスティングしてみた。
キレのいい飲みやすい焼酎。黄麹仕込みのためでもあろうか、芋香はかなり抑制されていて都会風の設計の酒という感じがする。
さて一万円というプライスをどう考えるか?
この「なゝこ」、芋焼酎としての絶対価値は一般的な値付けの「こだわり系焼酎四合瓶」と変わらないと思う。だが、マーケティング的に付加した「価値」をプラスしてさらに三井物産九州の思惑を乗せた金額なのだろう。投機的に購入する客も視野に置いているのは、限定本数という打ち出し方を見ればわかる。だが、まてよと思う。
いまや黄麹を使う蔵はけっこう多い。水へのコダワリはいずこも同じ。木樽職人、津留さんが元気にがんばってくれるので木桶蒸留機を導入する蔵も増えた。ちなみに、黄麹で仕込む手造り焼酎「萬膳庵」は一升(1800ml)で3000円ほどである。なゝこの命名のもとになった「七つの特徴」が商社的マーケティング企画から出ているのは明白だ。だから心に響いてこない。気持ちが共鳴しない。

この蔵は県外大資本とのアライアンスで乙甲混和焼酎を造ったり、流行の黒麹焼酎をだしたりしている。また、別法人で経営している量販店とのビジネスコンプレックスなどにも高い活性を見せている企業である。産業全体のこと、経営的なメリットなどは確かにあるしそれは結構なことなのだが、「造り手」としての本当の顔はどこに見ればよいのだろう。

焼酎出荷量がことしには清酒の出荷量を超えるかもという大ブーム(3/11毎日新聞記事)の真っ只中である。だからこそ「地酒」の多様性を市場に受容させるための努力が必要だ。
その新聞記事によると、2002年の年間出荷量は、清酒が約90万キロリットル。これは前年比6%減で7年連続して前年割れという惨状。一方焼酎は5%増の約86万キロリットルで4年連続のプラス。
清酒がギリギリのところで逆転を回避したというところだが、実は清酒の出荷量が焼酎を上回ったのは、歳暮用に清酒の需要が高まる12月だけだったという。

「日本酒の落ち込みはひどいようですね」と聞いた小生に、ひとりの若い蔵元さんが言った。信州のブースだった。
「造りたい酒をきちんと造っていきたい。個性を活かした自信のもてる酒を造り続けてゆくしかないんです」
マーケティング的な小細工などいらない。生活者はもう企業のイメージ戦術など相手にしていない。鼻と舌とノドが育っている。美味しいものが見えている。原材料名に書いてはないけれど、「造り手の誠心誠意」がある酒か否かなどもう十分にわかり始めているのだ。
「信じる酒を造る」、その意気や良し!
焼酎ファンとして、同じ国酒を造る方々に声援を送る。ちぇすと〜!ガンバレ、日本酒!

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