「夢はありますか」

平成16年3月7日


「力あるブランドには三つの要素がある」と片平秀貴東大教授が言う。
著書『パワーブランドの本質』(ダイヤモンド社/2400円+税)の一項。
「夢」「一貫性」「先見性」がそれである。
言葉を端折っているので分かりづらいかもしれない。
文章にすれば「頑固なまでに夢を持ちつづけ、それでいて10年、20年のちの世の中に自分たちの世界をポジショニングする」ことと言っていいだろう。


(薩摩拵え風に造ってみました)

教授は「三大法則」と表現するが、その中でもっとも重要なものが「夢」であるとこれは小生がそう思う。
以前に日記で、マッキントッシュの例をひいてウインドウズ機がマックの代替になりえないと書いたが、まさしくユーザーの「夢」に代用品が無いことは、マックがナイキであってもジープであっても全く同様である。
「夢」を「魂」に置き換えてもいい。「こころざし」でもいい。
そういうものが確固としてある「商品・サービス」こそが人に市場に受け入れられる。

さて「焼酎」、なかんづく「鹿児島焼酎」をひとつのブランドと考えればどうだろう。
売れに売れて(どの段階で本当に売れているかはひとまずおく)商品が足りない、品揃えできない、お客の注文に応じられないなどといった現象は相変わらず続いている。
ブーム狂奔といっていい。
キチンと流通しているもの、品不足を招来しないように出荷元から流通末端まで合理的に管理されているものなどもちゃんとある。だが一部銘柄に偏向して商品の取り合いが生起しそれに引きづられて市場全体が異常な混乱をきたしているようである。

焼酎は職人が造る。
蔵の規模の大小にかかわらず、酒というプロダクトは「職人の領域」のものである。化石燃料や化学物質を原料にコンピュータが自動生成してくれるものなどとは違うのである。
「職人の魂」言い換えれば「夢」を切り売りすることはできない。
流通とくに不良流通が跋扈しようが、原点である造りの「夢」を浸食することはできないのである。
「夢」を喰うものがあるとすれば自ら以外には無い。
軸足を揺るがさず夢を持ちつづけること、この姿勢がエンドユーザーまでキチンと伝播しうるコミュニケーション環境、これを志ある酒販店や業務店ともども多くの焼酎蔵がすでに持っている。築き上げているのである。

このブーム(といわれる狂奔)の中にあってこそ、造り手さんのみならず「焼酎」に関わり、焼酎を愛する人々がそれぞれの「夢」を持ち、「一貫した」姿勢を正して、現在の嵐に揺れ惑うことなく「先見性」を持ちつづけること、これが「ブランド」を本来のブランドであらしめる力だろうと思うのである。

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