本格焼酎ひとりごと

「薩摩、10月末の熱帯夜in天文館」

ある晩秋の一夜、天文館で旧知の方々や初めてお会いする方々とテーブルを囲んだ。

旧知組〜S酒造のTさん、ライターのgonさん(23)
初対面〜ガラス瓶や製造機器関連のOさん、Mさん、S酒造のYさん、K酒造のKさん、

場所は天文館の「竿山笑店」
酒はとっくり入りのPBだったが、霧島の酒、それも白麹のようだった(違ったらごめん)。

テーブルを囲むオヤジどもに、つぎつぎとお湯割りを作って配給するgonさんの手つきはとても素人とは思えない、もとい、素人ではない。燗つけの度合いもばっちりである。いならぶ蔵人たちが感心している。さすがにgonさん、全国の蔵、料飲店を周遊し修行しているだけのことはある。

熱い話しは二つの蔵を代表するような若衆頭(というような雰囲気の方々)のあいだで激しく始まった。
当初は話に混ぜてもらっていたのだが、やがて隣のテーブルに撤収。
しかし、二人の熱い、そして熱いだけでなくその根底に、それぞれの蔵だけでなく、薩摩の焼酎というそのものを思う気持ちが噴き出しているのは隣でのむ小生にもよく伝わってきた。

「10年前に脚光を浴びた年代の次にはもう新しい若葉が芽生え始めているんですよ」とTさん。
「たとえば?」と小生。
「○くん、△くん、それに、このひとたち」

その芽生えようとする若葉を、蔵の境を越えてみながお互いに刺激しあう。若きは先輩に教えを請い、それにたいして年長者は惜しまず教え、あるいは叱咤する。
これを、郷中教育の空気だと感じるのは小生だけだろうか。

朝日の最初の光条が射すときに、東のほうに伸びて輝く若葉には、非常におおくの酵素が含まれていると、これは自顕流の岩川在住の農士・同門、たまりさんの蔵書を見て知った。
焼酎の世界の若葉たちが、東にむかってぐんぐんと伸び始めるのはまもなくだろう。

いま、焼酎産業自体が難しい局面にあるのは誰しもわかっている。
経営的な戦略戦術はさまざまな面でとられるだろう。
外地にマーケットを求めようとする動きも(鹿児島の銀行筋によると)活発になってきたようだ。
だが、一番大事な戦略は、「人」だろうと思う。
次の若葉に豊かな日差しを注げるそんな空気と環境が醸成されていってほしいと、かれらの熱い会話を聞いていて思ったのだった。
(平成21年11月10日)

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