焼酎寸言

「酒亭」入り口
「ひるね蔵」ホーム
掲示板
蔵・焼酎リスト
焼酎寸言目次

  亜士亜(あじあ)
...........   ........... 鹿児島の個性的なふたつの蔵でそれぞれ造られたもの  

北九州遠賀郡のかごしま屋さんの企画でプロデュースされた酒である。
中央アジアから大陸と海洋を渡り日本に到来した「蒸留酒」のその浪漫に満ちた旅を彷彿とさせるネーミングである。
「細」の代わりに「士」の字を当てたところに気宇の大きさ、強さを感じる。
アレクサンドリア建設以降7世紀のアラビア人による侵攻まで錬金術が隆盛を極めたが、ここで発展したのが「蒸留器」。錬金術師たちが造ったのは「香水」であったらしいが。この蒸留機にはギリシア語で「アムビクス」というキャップが付いていた。蒸留機を「アランビック」と呼ぶようになった由縁である。白楽天が「焼酒初めて聞き、琥珀香ばし」と歌ったのは7世紀。9世紀には中国大陸にアラビアの寄港地が存在した。唐の勢力圏は朝鮮から中央アジアに至った。大亜細亜の道はまた酒の道だった。1274年、マルコポーロが開平府に到着、この時期に朝鮮では「焼酒」の蒸留が知られるようになった。蒸留機「古里」によったかどうかはである。薩摩の郡山八幡神社に「焼酎」の文字を記した木片が密かに「のんべえ」の思いとともに隠されたのは永禄2年8月21日のことだった。
左は「黄麹」仕込み。右は「黒麹」仕込みの、それぞれの「亜士亜」。
麹米は「雄町」。酒米のうち最も古い品種である。江戸時代安政期に発見されて以来、現在にいたるも最高級の酒米としての地位を守る。酒米として有名な「山田錦」は、系譜的には「雄町」の孫に相当するという。
同じ麹米・原料芋を使用し、二つの異なった蔵でそれぞれ「黄麹」と「黒麹」を使って造るという「企画」が面白い。同じデザインのラベルの一升瓶に、二つの蔵の個性が閉じこめられて登場した酒である。
■飲んでみた
当然のことかも知れないが、同じラベルの酒でこれほど味が違うというのが、理屈では分かってもなんとも不思議な気持ちがした。黒麹を使用した「亜士亜」には、この蔵独特の柔らかさと黒麹の濃厚さを思わせながらもなにげに軽やかな香味を感じる。バランスの良い味わいの酒である。
一方、黄麹を使用した「亜士亜」は、粘度と表現したくなるほどの濃醇が幾重にも重なっているかのようで、芋の種類は違うけれどこの蔵の35度の酒や原酒のシルエットを思わせる。この蔵で造る同じく黄麹を使用した酒とは違う系統の味わいである。通底する美味さと弾けるほどの多様な個性に結実したのは、企画し、取り組まれ、生産し、造りにあたられた全ての関係の方々の夢を基とするのだと感じたのだった。

■ダイヤメ日記より(8月22日)
自宅にて、鹿児島財部の前畑さんからお送りいただいた酒でダイヤメ。亜士亜(アジア)は北九州遠賀郡のかごしま屋さんの企画。店主の牛浜さんはご両親が鹿児島のご出身と聞いた。
製造蔵の違い、そして麹の違い、なにより遊び心と浪漫に溢れた逸品である。二つながら深いうま味の酒だった。ブームの中で揺れる銘柄ではなく、企画者自らが遊ぶそして楽しむ酒こそ、飲兵衛がこころを一つにして美味しく飲める酒なのではないかと思わせてくれた。。

「酒亭」入り口
「ひるね蔵」ホーム
掲示板
蔵・焼酎リスト
焼酎寸言目次

メールはこちらまでお願いいたします。
(c)hiken@2004.9