焼酎寸言

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    万 暦  
.................................西酒造 .okin  鹿児島県日置郡吹上町田尻680  (report 15.5.17)

西酒造の意欲作。初留取り芋焼酎45度未満。
おなじハナタレでも、蒸留時間の違いによって違う味わいを楽しめる企画で、60秒ものと240秒もののふたつがある。垂れ初めて一分と四分でそんなに味が違うのかと思う方もいらっしゃるでしょうが、これは確かに違います(違えることが出来るといってもいい)。
伊豆大島の谷口さんの蔵で、一日中蒸留機に密着して出てくる焼酎の味を見させていただいたことがあるが(レポートはこちら)、その時にはっきりと感じたのは、蒸留の行程では蒸気圧や冷却水の具合などによって焼酎の味わいが無段階に変化してゆくということだった。
「万暦」は、大マスコミの誤報というより虚報に始まった騒動をひとつの契機として生産を終了した「ちびちび」の後継銘柄である。造り手の気持ちは「初留取り」のロゴが「ちびちび」のものとまったく同じものを使用していることにも伺われる。
※この報道とその波紋については「本格焼酎ひとりごと」に「てげてげということ」と題して書いた。


いわゆるこだわり系の焼酎。まいにちのダイヤメに飲む酒ではない。グラッパグラスで香をきき、ゆっくりと一杯。和酒でもこのような楽しみかたができる酒がいま増えている。
「ちびちび」は芋焼酎へのアテンションという意味で大きな役割を果たして消えたがこの「万暦」が初留の取り方の「違い」に着目してあらたに発表された。また「情熱焼酎」と題して、原料芋の品種別にそれぞれの特徴を楽しめる原酒の企画も現実になっている。苦境、懊悩を超えて、ふたたび「造り」に見せた西酒造の激しい意欲にはあらためて感嘆する。

■飲んでみた

この酒が発表されて間もない頃、広尾の「五楓」でいただいたのは240のほうだった。その後、日比谷の鹿児島遊楽館で発見して購入したのが写真の60である。蒸留原酒をガス香もろとも封じ込めた「あらああらざけ」(佐藤酒造)のようなアタックを想像していたがはずれた。この「万暦」は、初留の酒を割水して45度未満にまとめた酒。くちあたりは度数を意識させないほどの優しさ。やがて初留ならではのキックの強さのなかにまるで舞うように微かな芋香が浮遊してくる。重厚と軽妙、躍動と静謐。その中に奇妙にアンバランスな魅力を感じる味わい。冷凍庫でしっかり冷やしてもいい。三年片頬の表情を持つこの酒、常温の緩みのある味わいで楽しむのもおすすめです。

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