焼酎寸言

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   岩川郷 私領 五番隊
...........     大石酒造.okin  鹿児島県阿久根市波留1676  

戊辰戦役における岩川の又侍たちの奮戦、そしてその功を良しとした桐野利秋がいた。
桐野が大西郷に請願し、末吉郷にあった伊勢家私領の岩川が明治二年に「岩川郷」として独立した背景にはそういう物語があった。
桐野は幕末の剣客、中村半次郎。薬丸自顕流の達人である。戊辰の戦い、その最後の場となったのは東北庄内藩、いまの山形県温海(あつみ)町。
いま大隅町と温海町は友好盟約を締結し盛んに交流している。この酒は、140年ちかい時間と、北と南という空間を超越した人々の思いが凝縮して生まれた酒といえようか。
黒麹仕込み。麹米は岩川の飯田集落産のヒノヒカリ。原料芋は 岩川の生産農業竹下一成氏が作る「ベジータレッド」である。まさしく曽於地方の生産農家、酒販店、民間文化団体などの思いがぎっしりと詰まった酒である。


「戊辰契り酒」がこの酒のコンセプトを顕す。右は薬丸自顕流に使用するユスの木刀。
焼酎の原料としてはあまり聞かないけれど、ベジータレッドは果肉がオレンジ色でカロチン成分が多く含まれ、芋けんぴ、シャーベット、クッキーなどの材料としても使われている。また、天ぷらの材料としても最適という、食べておいしい薩摩芋だ。大隅の特産としても紹介されている。(下記の大隅町HP参照)

■飲んでみた
栓を抜くと、薫風颯颯とでも言いたいほどの馥郁とした香りが立ち上がってきた。
グラスに注ぐ。透明感のある酒だ。香りが穏やかな広がりを見せる。口当たりはまろやか、舌下への刺激はほとんどない。膨らみのある柔らかさ。丹念に造られた麹、上質の原料芋を実感させて余りある。大都市圏で流行の「黒麹」風の味わいではなく、むしろ黄麹を彷彿とさせる絹布のようなキメのこまかな味わいと喉ごしを愉しむ。キレよくコクまたよし。底の方から「甘み」がゆっくりと湧いてくる。幾重にも美味しさが重ねられて出来上がった酒という印象を強く受ける。大石さんの蔵癖とでも言おうか、「鶴見」や「莫祢氏」に通じる柔らかさが麹米や原料芋の上質に相まって、素晴らしい酒が誕生した。お湯割りでは香味ともに一層の輝きを見せるごとくである。ロックではキレの良さに加えて微かな甘みがそれでもハッキリと浮上してくる。ロック党にもたまらない味わいである。どのような飲み方でも余裕の応え方をしてくれるが、ストレートか濃いめのお湯割りが私的には好みである。

■ダイヤメ日記より
(16.6.12)帰宅してのダイヤメは大隅、岩川の人々の思いのこもった酒。ロックとお湯割りでいただいた。盃を干す毎に濃醇の増す酒だ。
(16.6.11)カミさんとのダイヤメは故郷岩川をテーマとした酒。木目の細かな上質と荒ぶる魂を感じる酒。味わい以外の感興すら溶け込んでいるような気がした。
(16.6.9)先日来大隅、就中、岩川のことを少しづつ調べている。資料をご提供くださったりご教示をいただいた方々のおかげで、幕末明治初年のわが故郷の戦士たちの北国での奮戦、西南戦争への流れ、現在の両地区の友誼などが明け初める早暁の風景のように眼前に登場してきた。いつか岩川の「記憶の中の景色」とともにご紹介できればと思っている。
【参考】
昭和30年に岩川町、恒吉村及び月野村が合併し野方村荒谷地区を編入して大隅町となった。
当時25000人あった人口は、平成14年には15000人を切るまでに減少し、典型的な過疎傾向にある。大隅町 末吉町 財部町の合併が進み、新しい「市」の誕生も現実に向かっている。いま日本各地で合併がすすみ、変な平仮名の市名が流行しているために、若干心配したのだったが、新しく誕生する市の名前は「曽於市」。地域の歴史への誇りを込めた良い名前だと思う。

大隅町のホームページはこちらです。http://www.town.ohsumi.kagoshima.jp/

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