焼酎寸言

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  35%秘蔵五年 御神火  
....................谷口酒造 .okin  東京都大島町野増字ワダ       report 2008.3.2

この蔵は一刻一刻進化している。
社長で杜氏の谷口さんが、内を預かる奥さんとの二人三脚で動かしている小さな蔵だ。
伊豆大島、港からバスで行く海っぺり、停留所そばに谷口酒造がある。
ここで修行僧のような引き締まった表情でもろみから酒を焼いて産み出す様子を見せてもらったのが実は五年前のことである。

丁寧なそしてなお丁寧な作業だったと記憶している。五分おきくらいに蒸留され冷却されて出てくる酒の味を確かめる。そして火と水のバランスを調整する。醸造酒の造りにはない最終の工程だ。ここで、味が決まる。そう実感した一日だった。

蔵の向かって左側に貯蔵タンクを収めた建物がある。ここで五年眠った酒だ。伺ったあの時から、同じだけの思いが込められた酒である。


伊豆大島たったひとつの小さな蔵が産む酒。
麦麹仕込の麦焼酎。
ラベルには「独特な味香り」とある。たしかに個性の豊かな酒。だが、その個性が固定したものでなく、意図した試みや、もしかして(遊び心)にちかい取り組みによって常に進化(と、いう言葉を使いたい)を見せ続けている、そんな印象が強い。
この酒は麹にS型を用いたものか、あるいは五年前のあの日に産まれた酒のように香りが立つというL型を使ったのか、それはわからない。だが、眠りから醒めたこの酒に、造り手の心の底から立ち上がり沸き上がってくるような深い香りの重なりを感じたのだった。

■飲んでみた
ラベルをそっと剥がして栓を捻ってあける。
瓶の口に顔を近付けると押さえたような香りが立ってきた。まろやかな香りだ。だが決して浮き立つような軽さはない。むしろ激しさを内に秘めているような香りだ。
グラスに注ぎ入れる。
35度の透明な力が緩やかに揺れる。
すこし口に含む。舌先に溶けいるような香ばしさ。口当たりの優しさに期した熟成を感じる。
鼻孔に抜ける香りは心地よい焦げ香を残して消える。口全体に広げ次に喉を通す。35度の度数を感じないスムーズなのどごし。上品な残り香が低く残響してこの酒のメッセージを確実に伝えてくれる。まことに酒は杜氏の声に出さない言葉だと感じる。傑作だ。
35度の酒には25度では味わえない世界がある。
この酒はどんな飲みかたでも楽しめる、力のある酒だ。
だが、小生的にはストレート、生ですこしづついただくのを至上としたい。

(左)谷口酒造

谷口酒造のホームページは、http://www.gojinka.co.jp/ 

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