焼酎寸言

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花紫美  report 2011/5/16
 製造
大石酒造株式会社     鹿児島県阿久根市波留1676
 販売
「五代目 新屋」新屋貴子 鹿児島県出水市本町14-13 
「死すべき場を一歩も引かず、其心鐵石の如く」あらんとする出水兵児たちの魂を酒に映した出水兵児」を男の酒とするなら、この「花紫美」は優しい風のような「女性」をイメージして造られた酒。
これは「出水兵児」と同様、かつて出水にあって銘酒を産み出していた蔵の5代目新屋貴子氏が、阿久根の大石酒造の協力を得て形とした銘柄である。

「いつの時代も人は自然を敬い、その恩恵の中で生きてきました。太古に思いを馳せた時、高貴な色として崇められてきた紫色と日本の四季折々の花の美しさが浮かんできます」とおっしゃる貴子氏の、そのイメージがあたらしい酒の企画コンセプトとなった。

ネーミングの花そして紫美という言葉には旧新屋酒造の思いもまた深く込められているのではないだろうか。
在庫状態、購入に関しての情報は、販売元「ショップ新屋」にて。

(ラベルの絵は佐賀県在住の画家、山崎美恵子さんの描き下ろし)


■ととのった香味の下に、微かな熟成をも感じさせる豊かな味わい。

「優しい風」「女性イメージ」という言葉と、いかにも美しくたおやかな「花紫美」という銘柄名からは、軽やかで飲み易い芋焼酎ではないかという印象があった。
一面でそれはただしいのだが、もうひとつの面ではその先入観を打ち砕く力強さを見せてくれた。

開栓する。
たちあがる香りには刺激の一片もない。豊かにそしてゆっくりと広がるのは「花」と書くより「華」という一文字に込めたいほどの芳醇さである。この香り、なにかに似ている、とふと思った。新屋酒造が造った「結夢庵」のあの綾なす香りとどこかで一緒だ。もちろんこの「花紫美」は大石さんの蔵で造られた酒。いまはない新屋さんの手造り蔵の癖を受け継ぐわけはない。やはりこれは造り手(企画も製造も含めて)の目標とする所が見事に合致して生まれた香味なのだろう。

口当たり、喉越しともに滑らかだ。しかし決して容易な軽さを唱っているのではあるまい。じつに整った香味の余韻はふかいところにあきらかな熟成を感じさせるのだ。思いのふかさを味わえる酒。銘酒といっていい。


(創作人形<テーマは花>のコスチュームがよく似合う)


 
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(c)hiken@2011.5.16