焼酎寸言

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一どん(いっどん) 
.....杜氏の里 笠沙(かささ)  2.鹿児島県川辺郡笠沙町弥生木6762  0993-63-1002

長渕剛に「やっせんぼやっどんからん・・・」と鹿児島弁で歌い上げる一曲がある。「きばいやんせ」という歌だ(アルバム「JAPAN」に収録)
「気張れ気張れ気張いやんせいっどどまけ死ん限い気張いやんせ」というリフレインが、県外に出て働いている薩摩人への強烈な励ましに聞こえてくる。この歌を教えてくれたのは「からいもの里」の店主氏だ。彼もきっとこの激烈だがなぜかしみじみとした歌に励まされて働きつづけているのだろう。
彼と南薩を旅したのは2001年の7月だった。この杜氏の里に向かうからいも畑の道を走りながら、この歌をふと思い出したのだった。


一どんのプレゼンテーションは堂々たるものだ。
笠沙黒瀬地区に代々伝承される「焼酎杜氏」の技を絶やすことなく後世に伝え、またひろく社会に啓蒙するため、第三セクターの株式会社として設立され活動しているのがここ杜氏の里である。
この蔵の訪問記録は、「薩摩酎行紀2001夏」に、南薩の光と風と題して書いた。
この「一どん(いっどん)」は、黄麹でしこんだ昔ながらの手作り焼酎。木桶蒸留機で蒸留した柔らかい味わいが特徴だ。黄麹仕込みの芋焼酎、25度。なんとなく「萬膳庵」の味わいに近いものを感じる。黒瀬杜氏の長老宿里利幸さんの後輩が造る同じ黄麹の焼酎だからかとも思ったが、こういう推測はご本人たちには不本意かもしれない。

■ダイヤメ日記より
(13.6.3)

一どんは黒ぢょかでいただいた。ちょっと温度が醒めてきたときの味わいは、あの萬膳庵にそっくりだ。黄麹を使用しているから、というだけではない共通の理由がありそうだ。双方ともに黒瀬の杜氏さんたちの作品であるからだろうか。



■薩摩酎行紀より
それにしても、この「一どん」、黒瀬の杜氏たちの血統を伝える酒として貴重な位置づけの酒といえよう。霧島には黒瀬杜氏の長老が伝統の技を伝承しつつあり、頴娃や姶良など各地の蔵でもいまだ黒瀬の血脈が息づき、活躍している。このことは鹿児島県の焼酎鑑評会に入賞した焼酎の杜氏名リストをみれば、そこに黒瀬姓や片平姓を多くみることで分かる。
だが、いかんせん焼酎をめぐる様々な構造的変化が、黒瀬杜氏という長い歴史をもつ専門職群の未来を、静かにゆっくりと閉じつつあるような気がして、寂寥の感を覚えてしまうのだ。


(左)一どんを蒸留する「木桶蒸留機」
(下)
一どんには鯉幟がよくにあう

 

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