焼酎寸言

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 喚火萬膳(かんかまんぜん)
...........万膳酒造 .okin  鹿児島県姶良郡霧島町永水字宮迫4535

万膳酒造は霧島の手造り蔵で三種類の原酒を造っている。
黒麹で仕込む「萬膳」、黄麹で仕込む「萬膳庵」、そして昨シーズンに造り、この秋(平成14年10月)はじめて出荷した白麹仕込みの「真鶴」。「真鶴」は先代の銘柄だけれども、30有余年ぶりにご子息である現当主の手で復活した。おもに地元を向いた焼酎に育って欲しい銘柄のようだ。
現在のところ、萬膳と萬膳庵の二つの造りから生まれる製品ラインは、それぞれの初留をベースにしたもの(「喚火萬膳」41〜44度)と、原酒(「流鶯」35度)がある。銘柄名は同名であり、黒、黄麹の別はラベルの記載で知る。近年エイジングということが注目されているけれど、初留を年次で味わってゆくのも蔵の造りの推移を見ることができそうで興味深いものだ。

(左から)黄麹平成13年、黒麹平成14年、黒麹平成13年
蒸留の時間経過によって、垂れてくる焼酎を「初留(ハナタレ)」「本垂れ」「末垂れ」と呼び分ける。あとにゆくほど蒸留水が多くなり、したがって度数が低下してくる。初留は60度以上あり、それをベースにした製品は本格焼酎に許される45度以下ギリギリの度数まで確保することができる。約10度ほどで蒸留がおわり、40度程度の原酒となるのだけれど、原酒と初留の意味を考えるとちょっと面白い。
初留には、本垂れから末垂れにいたる蒸留過程で生まれるものが含まれない代わり、初留で得られるものが凝縮されている。一方、原酒には全蒸留過程で得られるものがすべて包含される。人の出産でいえば、産声をあげて無事に誕生した瞬間の新生児へ寄せる新鮮な感動と、産着に包まれて静かに眠る赤ちゃんを見る時の、穏やかな安心感に例えられるかもしれない。いずれにせよ、もろみを造り、それを焚いて酒を造り出し、貯蔵甕やタンクでゆっくりと熟成する間にも蔵の人たちの手が何重にも掛かっている。やがて瓶に詰められ、蔵毎の気持ちをこめた衣裳(ラベル)をまとって世の中にでてゆく。そう考えると、杜氏や蔵子が産み出す焼酎は、蔵の子供と変わるところはないと思えてくる。「喚火萬膳」と「流鶯」のラベルの書は陶芸作家の辻村史郎さん。火の魂がこもっているような書だ。

■飲んでみた
黄麹と小さく書いてあるラベルの「喚火萬膳」。萬膳庵の初留。スクリューキャップのボトル(自分でコルク栓に代えた)。上の写真の青い瓶だ。すでに残りは180mL(一合ですね^^;)を切っている。
栓を抜いた途端に芳ばしく醇で、かつ濃い香りが立ち上がってきた。
グラスに注ぎ、じっで(そのまま)口に含んでみる。
くちあたりの素晴らしさに、さすが萬膳庵の初留だと納得。しかし、そのあと強烈なアタックがやってきた!まあ、これは予想していたとおりなのだが、優しい表情の香りには、いつも油断させられてしまうのだ。
強い、というより、むしろ衝撃といったほうがいい響きが幾重にも殺到してきた。激しい波の重なりのその下に、なぜか度数を感じさせないような「甘み」が静かに広がり、姿勢低く、潜んでいる。
ロックでいただくと、氷が馴染んでゆくに従って緩やかな表情に変わってくる。そしてほとんど20度ちかくの度数になったときに、この初留の酒が、実は萬膳庵とは違うことに気がつき、小さく驚く。この酒には萬膳庵の全てはない。だが、萬膳庵原酒にないものが確かにある。それは、「喚火」の字があらわすまさにそのとおり、炎がどっとあがる戦場に先鋒を務めて突貫する武士の表情だ。あらあらしさを誉れとする激しさが身上の酒。夜のダイヤメにもいい。しかし、ここ一番という乾坤一擲のタイミングに飲む酒、人生の勝負酒としては最高ではないだろうか?(別にいま酔っぱらって書いているわけではありませんよ ^^;)。

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原酒を仕込み水と同じ霧島レッカ水で和水して、25度の萬膳・萬膳庵が誕生します。

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