焼酎寸言

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かせだんもん
.....宇都酒造..............鹿児島県加世田市益山2431.........0993-53-2260  
「からいも育ち」という本がある。野崎耕二さんという方が戦中戦後のあそびと暮らしを素晴らしいイラストと素直で端正な文章で綴られたもので、1985年に筑摩書房から発行された。
この本には鹿児島の昔の人と暮らしと風景が、そのころ子供だった著者やともだちを通して生き生きと描かれている。
戦時中の辛い話しもある。貝掻(けか)っや兎追い、そして焼酎屋といった思い出、そして「薩摩万世駅」というページには、いまはもうないこの小さな駅で別れを惜しむあどけないオカッパ頭の女の子たちの短く哀しい物語りもある。貧しいこの地方では、中学を卒業して大阪や名古屋の紡績工場に働きに出る女の子たちが多かった(鹿児島全県でもそうだった)。
集団就職列車は朝一番でこの駅を出る。
「あたいも、あとからいっでな。サイナラ」
「サイナラ、元気でな」
この15才の娘たちが帰省してくるのは二、三年後の正月だった。

加世田の人たちが、自分たちの汗をつぎ込んで造る焼酎だ。
著者の野崎さんは加世田の出身。昭和12年の生まれというから、同じ加世田のにっしーさんや小生とはひとまわりとちょっと違う年代の方だ。
この「かせだんもん」は、にっしーさんにいただいた焼酎だ。地の人たちの汗と、原料と水とで造られた焼酎だという。詳しいことは、にっしーさんのホームページ、「West far West」の「焼酎の部屋」にある加世田の焼酎で、「かせだんもん」をご覧いただきたい。
■飲んでみた
まず生(き)でいただいてみた。想像以上に柔らかいソフトな印象だ。開栓したとき、ふぁっと芋を蒸し上げたふくらみのある香りに優しい焼酎かなと思ったのだったが、その印象通りの素直な美味しさをもつ焼酎だ。
お湯で割ってみた。香りはいささか抑制された感じでいわゆる「鼻を衝く」アルコールの強さは微塵もない。しかし、味わいははっきりと薩摩の芋焼酎の辛さをもっている。辛さ、というより剛健といったほうがいいかもしれない。繊細だがひるまない、細心だが剛胆。まさしく薩摩の人と風土を写した酒だと思う。
この「かせだんもん」、生で飲むのがもっともこの酒の核心を味わえると思う。もちろん、お湯割りでゆっくりのんで美味しいのは言うまでもない。
飲み過ぎに注意しましょう。

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