焼酎寸言

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 (KATANA)  
..............佐多宗二商店 .ok鹿児島県揖宿郡頴娃町   (report 15.2.11,20.4.12更新)

佐多宗二商店の野心作。ラベルはさりげないデザインだが実は凝りに凝っている。
刀の漢字と英文字のスペックが書かれたラベルを貼ったさらに上から薄い和紙を被せ、その上に金色で英文銘柄名と刻印が箔押しされている。和魂洋才をカタチにしたようなイメージだ。和紙の中で奔騰するような書体の「刀」一文字が静かに鎮まっているのがなぜか激しさを秘めた武士を思わせていい雰囲気のプレゼンテーションになっている。
蔵元の「圏外人どころか(外)とつ国の衆に対しても堂々披瀝する」姿勢が嬉しい。
この蔵、今年(2008年)で創立100年。これからも薩摩らしい酒を生み出して欲しいものだ。

ほんとうはグラッパグラスが欲しいところ。クリスタルのカットのエッジが綺麗だったのでこのワイングラスに注いでみた。KATANAのネーミングには合っているかも。
この「刀」、ANAの国際線の機内で販売されている。手のかかる仕込みでもあり、造り手にとってはコスト割れに近い商品だけれど海外に焼酎を紹介するという目的で出していると聞いた。日本人から外人へのお土産として評判がいいとのことなので、その目的は達成されつつあるのかもしれない。他にも佐多さんの特約店で購入できるが、機内販売のもののような凝ったパッケージではない。白麹仕込み芋焼酎44度。原料芋は紅薩摩。その芋をくり抜いて使用、裏ラベルには「吟醸芋」とある。
「かたな、っていう酒があるそうですね」と聞いてこられたのは調所一郎さん。『薩摩拵(さつまこしらえ)』の著者でありこの刀装研究の第一人者である。日頃、刀に接しておられるのでネーミングが気になったのだろう。神宮前の「田島酒店」を御紹介したところ早速購入されたのだそうな。濃厚な味わいが気に入ったとのこと。さすがに薩摩の経済改革と軍政改革に任じ、薬丸自顕流を再興する切っ掛けを作った調所笑左衛門広郷の直系である。
そういえば、この蔵の酒の神事を司るのは加治木の精矛神社(くわしほこ 神社)の島津義秀氏である。氏は野太刀自顕流を学舎での子供達の教育に活かしている。剣のよき縁である。
■飲んでみた
初溜取り44度。しかし香りも口当たりも初めはなぜか穏やか。不二才の初溜にも似ているかと思ったけれど華やかな広がりを見せる様子にはかなりの違いがある。この違いは原料芋とその加工の工夫からくるのだろう。強い主張のなかに香味の優しさがたしかに潜んでいる。残り香はゆるやかにふくらみ、のど越しの重厚は余韻となって広がる。絹布に包まれた刀がすこしだけ閃めき輝いてまた緩やかに消えてゆく。強靱だけれど素直な個性と静かな表情を持つ酒だ。外国の飲兵衛がストレートで、あるいは氷を浮かべて飲むときにどんなイメージを持つのだろうか。さて、外人はまずやらないだろうけれど、お湯割りで試してみた。ハナタレは生でと思いこんでいたが、ちょっと試してみようとお湯で5分に割ってみたのだ。20度ちょっとになる勘定だ。(下に続く)
◆写真は「薩摩拵」の実物。
(上から続く)きっと芋の香が強烈に・・・と想像したのだが、生のイメージそのままの優しい味わい。この酒はやはり44度の原酒の領域で愉しむのが一番かもしれない。造り手さんの設計そのものを味わうのがいいということだろう。個人の好みでしょうが、一押しは生(き)です。

佐多商店には「斬新明鏡」という紅薩摩を使用した芋焼酎がある。もう生産が終了した銘柄だ。
「刀」はこの酒のハナタレ(初溜取り)といっていいかもしれない。
ものは試しと棚から取り出して久しぶりに味わってみた。生でグラスに注いでいただく。たしかに味わいの余韻の底に相通じるものを感じた。


「斬新明鏡」〜榎本孝明氏のイラストがラベルとなっている。

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