焼酎寸言

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  種子島 金兵衛  
....................種子島酒造 .okin  鹿児島県西之表市西之表13589番地3

薩摩方面から「金兵衛」がうまかな〜という声が聞こえてきたので、性もとより軽薄至極な小生、さっそく押入の中を探索することにした。かなり以前に種子島出身の友人からいただいた一升瓶があったはず。発見した「金兵衛」のラベルを見たら、詰口年月日は12.10.19となっていた。1年と少々の時間を瓶の中ですごした酒ということになりますが、何の問題もないところが焼酎の嬉しさでもあります。
この酒の銘柄は、「鉄砲上陸」に由来するもの。
天文12年(西暦1543年)、種子島に上陸したポルトガル人が持っていた鉄砲を、島主種子島時堯が高額で購入し、鍛冶の八板金兵衛清定に複製製造を命じた。それからわずか30年の間に鉄砲は全国に広まり、合戦のスタイルが変わったことは知られるとおりだ。当時の日本には、全世界でも有数の、銃を装備した歩兵軍団が多数存在したということになる。江戸期には大船建造禁止などと同様に、鉄砲の改造は御法度とされたから、武器に関する技術革新は全くフリーズされてしまった。その結果、ペリーが浦賀に来航したときには幕府の官僚たちはたった四隻の軍艦を前にして「夜も寝られ」ないという体たらくだったわけだ。「備えよ常に」を忘れちゃいけないということですね。


この酒には、「てつぱう」とのツーショットが似合う。残念ながら骨董でも装薬式でもなく元込単発式の空気銃。精密射撃用のスコープ付きです。
焼酎用の芋としてはコガネセンガンがもっともポピュラーだけれど、この「金兵衛」の原料芋は白センガン。白麹仕込みの芋焼酎25度。種子島酒造にはおなじく白センガンを使用する「久耀」、種子島紫の「紫(ゆかり)」、安納地区特産の芋さつま安納を使用の「安納」があり、いずれも7000万年前の地層から汲み上げる軟水、「甲山水」を割水に使用している。

■飲んでみた

ショットグラスに注ぐ。
栓をあけた途端、かなり強い香りが立ち上がった。「甘い」と文字にすると誤解をうみかねないけれど、たしかにきめ細かく甘い、深い、そして濃い香りだ。まず生でいただいた。含み香の柔らかさ。味蕾を撫でる香味のサーフェイスは、ビロードのような優しさを持っている。残り香が長く余韻となって静かに響く。味わいが自然体の伸びやかさを持って一種の気品を湛えているようにも感じる。この蔵のレギュラー酒といっていい「金兵衛」、まちがいなく旨い酒だ。
つぎにお湯割りでいただいた。
6:4のお湯割りを作る。陶器の焼酎カップ(ちゃんと目分量のラインが入っている。昨年鹿児島養母にてたぶっちゃんにいただいたもの ^^)にお湯をいれ、しずかに焼酎を注ぐ。大輪の花が開くように芋焼酎独特の香りが広がる。アルファー波が脳内に出現する。セロトニン(=癒し効果のある脳内物質)があふれ出してくる。お湯で増幅された香りだけでこれほどの満足度が得られるのだから、芋焼酎は素晴らしい!
ストレートで感じた「金兵衛」の優しい甘さは、お湯割りにしても希釈されるどころではなかった。馥郁とした香りと味わいはむしろ濃厚さを増したようにも思える。しっかりとした骨格と何層にも彩なし重ねた鮮やかな香味が、ストレートで味わったときよりさらにふくよかな表情となっている。
どんな飲み方にも余裕で応える酒だと思うけれど、この酒の美味さを堪能するにはやはりお湯割りが一番でしょうね。種子島も焼酎が豊富なところだが、さまざまな味わいに共通するのは造り手さんたちの気持ちの細やかさ。
加世田の焼酎伝道師協会頭領として焼酎普及に心血をそそいでいる、にっしーさんの「金兵衛」レポートに、「種子島に行ったことはないが、南の島の田園風景に想いを馳せながら、島は人情と共に焼酎も優しいと痛感した」とあるが、まったくそのとおりと頷いた。

(上)八板金兵衛作の国産火縄銃第一号。
(左)鉄砲祭りは毎年7月に行われる。


西之表市HPから引用させていただきました。

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