...マーケティングでは見えない・・・
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平成14年2月18日のダイヤメ日記に、協和発酵とアサヒビールのアライアンス、要は、アサヒビールが協和発酵のリストラクチャリングにのっかるカタチで同社の酒部門を買収したことを書いた。

協和発酵の持つ低アルコール飲料・ワインなどの酒類事業についてはまあひるね蔵的にはどうでもよい。
気になったのは協和発酵が株式の過半数を保持し子会社として操業させている鹿児島の「さつま司酒造」のことである。つまり、焼酎の免許がほしかったアサヒの狙いとその結果である。

さつま司酒造は、協和発酵の持ち株比率は55.42%であり、同じく子会社の雪の花酒造(同92.41%)と同様に平成14年中にアサヒビールの資本傘下にはいる。
現在、協和発酵本社から反町直之氏という人物が(姶良と小樽の両社の)社長に就任しているが、もちろんこの座もアサヒビールから任命される新社長に明け渡されるのだろう。
反町氏が「焼酎造り」のことを知らない人だったかどうかはよくわからない。アサヒからの新社長が少なくとも焼酎を扱うことへの気持ちをもっていることを願いたいが。

このアライアンスの目的はこうだ。
「(アサヒビールは)今回の合意により、協和発酵工業(株)の経験とブランドを継承でき、焼酎・低アルコール飲料を中心に商品力が一気に強化され、各カテゴリーにおいて主要な地位を占め、酒類総合提案力が飛躍的に高まり、市場に対する一層の高品質なサービスを提供することが可能となります。」

アサヒビールの狙いはここにあるとおり、まず「商品力を一気に強化」し、「酒類総合提案力を飛躍的に向上」させることにある。もちろん市場に対する一層の高品質なサービスなんたらは同社が競合優位性を獲得するためと言い換えても良いだろう。ここには「鹿児島県の伝統、文化、産業」そして、それに従事する「職人」をはじめとする人々への思いは片鱗すらもない。

企業の論理からいえばこのことは短期的には当然だ。もちろんアサヒビールが戦略性を持った事業ドメインとして「本格焼酎」を考え、長期的に取り組むつもりなら、この同じ論理は愚策となる。

まあ、アサヒビールだけのことではない。
ここにきて、同社とまったく同じマーケティング戦略上の理由から、某大ビールメーカーそして大手ウイスキーメーカーまでが鹿児島の焼酎蔵とのアライアンス(早い話が資本参加・買収)を企画しているらしい。
宝酒造が小牧さんに参加し、宝の企画で商品を市場化しはじめたことは記憶に新しい。
薩摩の蔵で、そこの有形無形の資産を活用して、りっぱに本格焼酎を造ってみせるならまだよい。看板だけを買って、桶買いの二重構造で商品に差別化可能な付加価値を付けるというような事がもしあるならば、企業の論理や買収された蔵が許しても天がゆるすまい。
あざとい商売の姿をみるにつけ、このごろの日本に充ち満ちている「欺瞞」を感じてしまう。政治を委ねられた者も、教育にあたる者も、そして経済人も、そのあり方や方法論までも、堂々自ら恥じない志を持って貰いたいと痛感するのだ。



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