焼酎寸言

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    むかしむかし  
..................... 丸西焼酎 . ....鹿児島県曽於郡有明町蓬原1397-1   (report 15.12.14)

「稀少銘柄ばかり騒がれるけれど、これが本当の美味しさというものだよ」
鹿児島市内のある酒屋さんがそういって手渡してくれたのは機械栓の小さなビンだった。
ラベルには名前がなかった。ただ「自然流」と書いてあり、19年古酒だという。
これが丸西さんの古酒の世に出たばかりの姿だったのだろう。やがてこの酒は自然流の誇りを受け伝えつつ、蓬の露古酒となりまたこのむかしむかしとなっていった。
夏、山形屋デパートの改装前の酒売り場で発見、即購入したものだ。



手書きの文字で二十年古酒ブレンドとある。裏ラベルにもおなじく手書きで「自然の流れに・・・。太陽の恵みを受け、大地の実りが生まれた」と書いてある。まさしく焼酎を言い得ている。
本格焼酎寸言に「よもぎの露」を書いたのは昨年の二月だった。そこに丸西さんの古酒についてこう書いた。
<丸西焼酎といえば、20年古酒と短絡的に思ってしまう。昨年夏、鹿児島の照国神社の近くの酒店で、自然流となづけたこの古酒をいただいた事があった(もちろん、その時は19年古酒でした)。今年になって、「むかしむかし」という古酒ブレンド焼酎が発売されたが、ベースはあの19年かなと感じさせるよく練れた焼酎になっていた。さまざまな原酒が商品として化粧されて市場に出される。その企画や意図、工夫などが大事なのだろうと思う。写真の「よもぎの露」は、丸西さんのレギュラー酒として馴染まれている銘柄だ>。
枕崎の平川酒店がオリジナル焼酎として出していた「鰹群(なぐら)」は2003年12月で終売となったが、ルーツはやはり丸西さんの古酒であった。有明町で生まれた命の水が様々な場所で色々な人に愛されて静かに消えていったことを思うと感慨深いものがある。

■飲んでみた
よく「まったりしよう」などと言うけれど、その言葉を酒にするとこうなるといっていい。香り口当たりとも泰然としたおとなの雰囲気に充ちている。刺激も鮮やかさも強さも鋭さも立ち上がってはこない。そして緩慢といっていいほどのゆるやかさで花開く深い味わいの中には、実は確かにずっと底のほうに存在する激しい志を秘めた益荒男の相貌の一片だに見ることは出来ない。そう、それは味わい終え、あきらかな美味さをしっかりと堪能してのちに、ひとそれぞれの速度によって感じさせられるのである。時間が練り上げた精緻な香味の綾はひとたび言葉にすると蒸散してしまいそうなほどである。新酒で楽しむ芋焼酎のすばらしさは他の原料による酒ではなかなか味わえないが、時間と会話しながら重ねを厚くしてきた芋焼酎のうま味、滋味がここに凝縮しているのだった。まずストレートで、次ぎにお湯割りでいただいた。飲み方は人それぞれだけれど、自分的にはおそらくこの一升瓶がカラになるまでずっと生で飲むことになると思う。


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