幻の酒ったって、森伊蔵も魔王もどこにでんあるぢゃないか?

当ひるね蔵酒亭は中身の無さをコンテンツの量で増量しているふとどきなサイトだけれど(ウエッブ三増酒亭とも言われちょるらしい)、開設して一年半もたっているためか様々な方面からのご連絡をいただく。
ファンファーレとともに「おめでとうゴザイマス!100ドルさしあげます」なんてことはなくて(貧乏くさい?)、そのほとんどは真面目なご意見やご覧になっての感想なのだが、たまにメディアに当サイトの名前が出たりすると、いささか変なメールが増える。先だってはどうやって調べたのか、九州から「森伊蔵を(一本一万円で)売りたいのだが・・・」という電話がかかってきて、応対したカミさんを驚かせた。

「御社の焼酎の銘柄と価格を連絡されたい」というエラそうなのもあった。流通かメーカーと勘違いしているんだろうなあ。この手の人に共通しているのだが、たぶんサイトの中身など見てないのでしょう。
「いつ行っても森伊蔵は飲めますか?一杯いくらでしょう?」これはお店と間違えている人。
「魔王の四合瓶が欲しいのだけれど、ある?」うちは酒屋ではない。
「森伊蔵の抽選、申し込みます」申込先が違う。
「森伊蔵の極上の一滴をどうしても入手したい。ご考慮いただけないか?」このメールのアドレスは、某国営航空会社のものだった・・・(@@;) 自分の会社に聞いて欲しいね。

ことほどに、「幻」戦略にはまってしまった方々の多さには呆れるほどだ。
「森伊蔵」も「魔王」も店に行けばどこでも飲める。「幻」戦略を展開する不良流通のおかげで、値段は高いけれど、それでも飲みたいんだもーんという方にとってはいくらでも飲めるごく普通の焼酎に過ぎない。

「幻の焼酎ちゆーちょっどん、どこがまぼろしかね?どしこでん造っちょいがね。」
と言ったのは鹿児島の情報筋。
「そいよっかな〜、かごんまの焼酎はホントの意味でまぼろしになっしもど」

今年の鹿児島県焼酎鑑評会に出展した酒造場は100場。酒造組合に登録されているはずの、それ以外の蔵はどうしたのだろうと、だれしも疑問に思う。昨年は大隅・出水の蔵など、いくつかの蔵が廃業(免許返上)した。免許は保持していても造る力を喪失している蔵も多い。いつかはと再起を期しながらも、販売だけで頑張っているところもある。
薩摩の焼酎蔵は、また多くが販売免許を持っている。裏の蔵で造って、表の店で売るというのが、地の焼酎屋の原型だ。そしてその造りが委託製造となり、酒店は多くがコンビニになってゆく。

「いま、焼酎ブームぢゃっち言うがね。そしたぎいなそんブームを利用して、気張ってみよち蔵があってんよかたちごけ〜」

平成12年11月に刊行された「鹿児島・宮崎いも焼酎・黒糖焼酎名鑑」(金羊社)にはそういう「幻」化している焼酎までもが何銘柄か掲載されている。ただ、この酒たちは、県内外のどの酒屋に行っても棚にその瓶姿をみることはできない。いや、造っている酒造場の販売所にも並んでいない。蔵の奥にストックされているだけなのだ。従って蔵に行き、店の人に銘柄を告げて、持ってきて貰うことになる。

本や雑誌、テレビなどメディアで繰り返し語られ、ブームを煽る「本格焼酎ストーリー」の陰で、もうひとつの真実の物語りが進行している。

蔵で直接買い付けて、送って貰った焼酎たちを見ているとそのことを実感としてかんじるのだ。
「はよせんと、ないもかいも、やっせんごっなっど」と彼がつぶやくように言った。

左から・・・・・・

「薩摩せんだい」(三和酒造)
芋香がふかく、甘くてまろやか。

「都の露」(宇都野商店)
飲み口がよく、スムーズなのどごし

「さつま美人」(さつま美人酒造)
土地柄そのままの豊かなあじわい

「さつま志布志湾」(坂井酒造)
香り味ともにまろやかで飲みやすい

※上記の焼酎はいずれも直接蔵・店にて購入できる(14.3現在)
宇都野商店は製造免許を返上したが、販売店にて銘柄を言えばストック分を販売してくれると聞いた。


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