焼酎寸言

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s さつま松の露
.............. 櫻井酒造 ............... 鹿児島県日置郡金峰町池辺295  .....

「櫻井」さんには二回お会いしたことがある。
最初はまっかな顔をしておられた。
次はまっかな顔をした人々に酒を紹介して汗だくだった。
いずれもお人柄のうかがえる出会いだった。

平成12年ころ(と思う)、鹿児島市内の照国神社ちかくの酒屋さんで店主氏と話していたら、店内の入れ込みで利き酒しておられたのが櫻井氏だった。
「そしたぎいな〜」と店主氏に挨拶して車に乗り込みみずから運転して帰ってゆかれた(^^;。
次ぎにお会いしたのは昨年(平成17年)の七月。
まさるやさんの酒人好の会。
実直な温顔で殺到する酔客たちに一生懸命に説明し試飲をすすめておられたのだった。


「焼酎」で味わえるもの、米・芋、水、そして人々の縁。
この蔵元さんの酒で初めて味わったのが「古酒櫻井」だった(H12)。レギュラーである「松の露」ではなかった。このころはまだ鹿児島の焼酎全体の活気は、いまからは想像できないほど低かった。一部の作為された稀少銘柄にフォーカスされたいわばイビツな「ブーム」の影が立ち上がり始めたころだった。

田崎さんや相良さん、そしてこの櫻井さんの蔵などからキチンとプロデュースされた形で作品が送り出され始めた頃のことである。

やがて怒濤のように到来する焼酎ブームを予感させる空気は一般にはまだ希薄だった。
だが、そんなこととは関係無しに、地元の人々は昔ながらの酒を飲んでいた。
左は昔のラベル。
このころは一升1200円くらいだった。

■飲んでみた
じつはこの「松の露」を飲む契機になったのは、池袋の焼酎居酒屋「BETTAKO」を本拠とする酒客ケイマツさん。早駆けの松というすこし鉄火な徒名を持つ酒豪である。薬丸自顕流の剣豪でもある。その彼がいつも注文するのがこの酒だった。
「松に松か、めでたい取り合わせだなあ」と呑気なことを考えながらお湯割りで飲む松さんを見ていたのだったが、飲み進める彼の表情があまりに幸せそうなので、ある夜、松さんの姿がみえないときを狙いすまして注文してみたのだった。
まず、生でいただいた。
くちあたりも、のどごしも、そして余韻も、すばらしい。骨格の揺るぎの無さをしたたかに感じる。都会うけする味わいではない。初めて芋焼酎を飲むひとに勧めたくなる味わいでもない。
22年まえに発行された『焼酎大百科』(講談社ムック)には、「甘みが口に広がる芋焼酎」というコメントがあった。あった、はずである。もちろん味わいは変化し進歩してきたのだろうが、味わいの底にある苦さと甘みとそして香ばしさが、ちっとも争わず整合しさらに纏まって昇華してくる。お湯割りで現れる表情は言葉にできない。柔らかで剛直、芯がキチンと貫徹しているのに香味ともに優しい。焼酎を飲むということの幸せを味あわせてくれる酒である。

 

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