焼酎寸言

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    鰹 群 (なぐら)  
...............................m丸西焼酎 .okin  鹿児島県曽於郡有明町蓬原1397-1  (report 15.6.14)

海の縁でつながった酒だ。
この酒を、というより海の酒屋「平川酒店」をお知らせいただいたM氏とお会いしたのは、大海酒造の杜氏大牟禮さんとの飲み会の席上だった。
さつま大海やくじらのボトルをいただきながら、南薩摩の鰹漁港枕崎にある酒店さん、そしてそのお店の古酒銘柄についてお話を聞いたのも何かの縁だったろうと思う。その飲み会も、晴海埠頭ちかくの魚料理の店が会場だった(^^;)。
劇作家川崎照代さんの作品に同名の「鰹群」がある。
ちょっと調べてみた。
川崎さんは枕崎の出身だ。これは俳優座の機関誌「ひろば」のバックナンバーで読んだ。
戯曲はある家族の問題をテーマにした(梗概を見る限り)深刻なストーリーのようだけれど、枕崎に生まれた人々にとって、鰹漁があらゆる原点にあるのだということを、あらためて感じさせられた。


ソバ色の「からから」は苗代川焼き。よか風情です(鹿児島遊楽館で購入)。

■飲んでみた
生ですこし口に含む。沈んだ落ち着きのある香が涼やかに響く。
きちんと時間を重ねた酒の持つうま味が刺激の一片もなくそこに存在する。ちょっと妙な例えかもしれないが、京都の町家の、なんということのない玄関口から奥をのぞきこむと、ずっとむこうまで、深く底の見えないほどの重厚がひそんでいる、そんな感じがする酒だ。
ラベルに「自然流」と小さく書いてあった。三年前、鹿児島市内の酒店さんで味わった19年古酒「自然流」を思い出す。その酒は「蓬の露」古酒や、「むかしむかし」などに形を変えて製品化されてきた。そのひとつの命脈がこの酒屋さんの銘柄として枕崎に息づいている。
「考え抜き、暖めてきた銘柄の名前です」と平川酒店の栄村ちえ子さんがおっしゃる。ご主人の父君は鰹漁船に乗っておられたそうな。航海の無事と豊漁を祈るまさしく枕崎の海に臨むお店にふさわしい銘柄名だ。
ストレートで感じる重厚は、お湯割りでは表情が一変する。芋香が鮮やかに浮遊してくる。寡黙は饒舌な華やぎに変わり、芋焼酎古酒の深さを感じさせる。うまい。

■ダイヤメ日記より

(15.6.5)
自宅にてのダイヤメは鰹群から。はじめからお湯割りでいただいた。激しさを深い穏やかな表情に秘めた酒。

(15.6.4)
インドネシアでは、鰹(かつお)の群のことを日本語で「なぐら」と呼ぶそうだ。
坊津の網元出身で明治期の海洋漁場の開発に挺身した原耕氏が、その海外拠点を置いたかの地に残した言葉だという。枕崎はいまや海外とのさまざまな交流拠点に位置づけられるが、元来は鰹漁港。いまも日本一の水揚げを誇っている。
この「鰹群(なぐら)」は、枕崎の「平川酒店」さんが古酒で知られる丸西さんに委託したもの。さすがに「海の酒屋」さんの銘柄だ。
単に鰹の群のことを指しているのではもちろんないと思う。
なぐらを追い、漁場を開発し、海外に加工拠点を造り、現代の鹿児島水産の基を築いた先人達の姿を思い、このラベルにその気持ちを重ねる。港を出港する鰹漁船に託す家族の思い、そんな祈りがぎっしりと詰まった酒・・・なんていう理屈とは関係なく、この酒、うまい。
しっかりと舌に染み込む古酒の老成、それでいて残り香に響く芋のふくよかさ。ストレートで、お湯割りで。つい飲み過ぎ。「まっこち、よかしょちゅがあっとよね〜」とつい薩摩弁で娘に話しかけて妙な顔をされてしまった。はい、下の娘は所沢ネイティブです^^;。

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