焼酎寸言

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 流 鶯
..............万膳酒造 .okina  鹿児島県姶良郡霧島町永水字宮迫4535 

「・・・・・・」。
ひとくち試飲して、言葉もなかったのは万膳さんの蔵で甕から汲んでいただいた「萬膳」の原酒。これが「流鶯」として発泡ガラスの瓶で発売されたのは平成13年の夏だった。今年、平成14年5月に黄麹仕込みの「萬膳庵」の原酒がおなじく「流鶯」として発売された(下の写真)。武蔵藤沢のナボシ屋さんから一本購入してさっそく戴いたのだったが、先日の「第三回囲炉裏で焼酎を楽しむ会」の席に蔵元さんから差し入れていただき、それを直燗して飲んだ経緯はそのレポートに書いたとおりです。原酒の直燗は危険なほど美味しいけれど、お勧めはしません(^^;)。
黒麹仕込み「萬膳」の原酒。盃は薩摩錫器の伝統を継承する岩切美巧堂(鹿児島県国分市)の作。錫器作りの職人ももう少ないという。
「木桶をつくる人がおいやってですね〜」と万膳さんが語ってくれた。山形県のさる酒蔵のために桶を作る職人さんがおられ、この方に会って「蒸留機」の木桶を作って貰うことになったのだという。鹿児島には木桶を作る職人さんがもう一人しかおられず、しかも体調がすぐれないため今後の製作が危ぶまれると聞いていた。木桶蒸留機は6〜7年ごとに作り替えなくてはならず、その職人を探す万膳さんの旅はやっと終わったのか、と思ったら、その方もすでにご高齢で後継者を持たないのだそうな。
それにしても、もの作りの伝統がここまで消滅しているとは。我が国はすでに砂上にあってなお砂上の楼閣を積み重ねることばかりで、この長大な瑞穂の国のあらゆる土地、暮らしとともにあった豊かな文化・伝統を省みないこと、まったき長きにわたりすぎたと思う。
この国は、公共投資の名目で中央からの財政移転(補助)によって、恵まれた自然をブチ壊すことにだけ血道をあげてきた。塩害防止、水害防止、農地開拓・・・虚ろに響く役人と政治家たちの本音が、地方土建業者からの献金・集票、天下り先確保のためのみにあることは今は誰でも知っている。自然を壊し伝統を破壊し人の心を喪失させることは一見別のものにみえて実は同じ事なのだ。もういい加減にしなくては取り返しのつかないところまで来ていると思う。
「焼酎」造りは、言うまでもなく自然とともにある産業だ。自然が侵蝕されれば酒もできない。太陽と共にあり、水と共にある。山が壊れれば川が死に、川が死ねば海もまた死ぬ。大地の水と共にある生き物が滅びれば土もまた沈黙する。
「ひるね蔵掲示板」に、長野県出身の方が「下諏訪ダム」建設にからむ長野県知事と議会の対立のことを書き込まれていた(14.6.28)。またぞろ利権屋どもの蠢動。議会を解散し、選挙で信を問うことになるだろうが、地元利権主義者たちは不要なダムを作ることで、何を喪うことになるかをよく考えて欲しいと思った。
閑話休題。
リカーハウス長崎さんに教えて貰ったのだが、信州小布施に枡一市村酒造場という蔵があり、そこのセーラ・マリ・カミングスさんというアメリカ人の女性が呼びかけて、「桶仕込保存会」という会がたちあがったのだそうな。味噌・酒・醤油という桶を使う蔵に呼びかけ、昔ながらの桶で発酵させよう、また伝統の桶作りを伝承しようというものだという。
日本人が忘れつつある伝統への尊重心を、アメリカ女性に教えて貰ったようではある。

■飲んでみた
万膳さんと杜氏の宿利さんの真情が詰まっている酒だ。
俗心の一片だにない至純の美味。伸びやかな芋香と淳良な麹香が静かに交響し、こたえられない芳香を残しながらノドを滑り落ちる。
35度の原酒とはおもえないまろやかさ。ロックでもお湯で割っても微動もしない萬膳原酒の味わいだ。ゆるやかにまとまりながら実は強力な主張を内包している原酒。やはり、この酒はなにも交えずに生のままゆっくりと戴くのがいい。
囲炉裏の会で、椀方さんが言った。
「直燗してみましょ」「・・・・・・」
これが危険なほどの美味さだった。
鹿児島で、35度の原酒をそのまま黒ぢょかで燗つけなどすると、「あいはアル中ぢゃっど」といわれるだろう。ここが武州でよかった(^^;)
この直燗流鶯は黄麹仕込みの「萬膳庵」の原酒だった。萬膳原酒同様の醇良な味わいだが、やや華やかさが添い、たまらぬ美味しさとなっている。


こちらは黄麹仕込み「萬膳庵」の原酒

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