焼酎寸言

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    西海の薫 自然栽培  
.........................原口酒造      鹿児島県日置郡吹上町入来652番地      (report 15.3.21)

薩摩半島の西、吹上浜の優美長大なラインに沿って多くの焼酎蔵が点在する。笠沙、加世田、金峰、吹上、日吉、市来・・・。土地と蔵と酒の表情が北斗星の連なりのように輝いて見える。まさに焼酎のゴールデンラインと言っていいエリアである。
「西海の薫」を造る原口酒造はそのラインの半ばあたり、東シナ海に面した入来浜ちかくに百十余年続いている蔵である。芋の香、味わいを優しくしかし明解に写した代表銘柄「西海の薫」はながくこの土地の人々に愛され続けた酒だ。そして原料となる米、芋によりこだわったのがこの「自然栽培」である。裏ラベルには原料生産者の名前が明記されてあり、丹精込めた無農薬の芋・米からこの酒が産まれたことを誇らしく宣言している。
伝統の上にたってさらにそれを発展させ、世に信念を問うことは、教育勅語にいう「祖先ノ遺風ヲ顯彰スル」ことの最上の顕れといえよう。この「自然栽培」という絶妙のネーミングとそこに込められた蔵の思いを考えるときに「古今ニ通シテ謬(あやまら)ラス之ヲ中外ニ施シテ悖(もと)ラ」ぬ、頑固なまでの一徹さを感じるのである。

原口酒造は明治23年(西暦1890年)、教育勅語発布の年に創業。
この「自然栽培」は養母の田淵酒店さんからの宿題
(^^;)

ちょっと古色蒼然たる前書きになってしまったけれど、原口酒造はなかなか柔軟な考え方をもっている蔵元さんのようだ。「ベストブレンド会」の加盟蔵として、芋焼酎研究所芋っ子倶楽部が参画した「さつまPoteっ子」などのユニークな試みにも挑戦している。余談ながら小生、蔵を跨った原酒のブレンドにはいささかというより大いに疑問がある。しかし、杜氏の手で新酒に貯蔵原酒をブレンドするやりかた(従来どおりの方法)は酒質安定という面ではしごく当然の技だろうと思っています。

■呑んでみた
レギュラー酒「西海の薫」の穏やかな味わいが、地元の人たちと長い時間とによって作り上げられた砂丘の風紋にも例えられるとすれば、この「自然栽培」の鮮やかな香味は、黒瀬杜氏片平照二氏による渾身の造形といっていいかもしれない。
生産者の丹精に造りががっちりと応えている。開栓したとたんに立ち上がった鮮烈なトップ香にそう感じた。
まず生でいただいた。くちあたりの優しさは原口さんの酒の特徴そのまま。口中にとても醇な深みのある柑橘系の香味がひろがる。のどごしの優美さ、余韻の長さ。これは生のままでするすると飲み続けられる(ちょっと危険な)酒だ。
つぎにやや薄目のお湯割りでいただいた。う〜む、表情が変わらない。ぬるめのお湯割りでは味わいの優美さがさらに増したかに思える。もちろん香味のバランスは寸毫も崩れることがない。
芋焼酎独特の幅のある穏やかな世界を感じさせるそのなかに、揺るぎのない柱がしっかりと立っている酒といえよう。割水して燗付けし、温度の変化による香味の違いをゆっくり味わってみたいと思う。


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