焼酎寸言


  宿 翁
................... . 万膳酒造 syukuou 鹿児島県姶良郡霧島町永水字宮迫4535

この芋焼酎は、酒であってすでに酒だけの存在では無いと、この作品を見るたびにそう思う。
酒は人の心の共振を呼び、酒はそれ故に詩を産む。詩はひとの魂の至純を照かにする。
この酒のありかたはすでに詩そのものである。

この酒は普通に流通しているものではない。
深い縁と、それに結ばれた人々を象徴する酒である。
一期一会の酒、そういうほうが当たっているかもしれない。だから「寸言」には何年も書こうとは思わなかった。
もういいだろうと思う。
もうない酒なのだから、遥かな想いの中で語ることにする。

「厳寒の地で醸された焼酎は、桜咲くころにおいしくなると、宿里杜氏からよく話を聞かされていました。」と万膳さんの添え書きにある。

その宿里杜氏の最後の作品を、一回忌にこういう形で出された蔵元の心のうちには深い鎮魂の気持ちと、この栞の最後にあるように「宿里杜氏の遺志を継ぎ、万膳酒造は造り続けます。」という固い誓いがあるのだと思わせてくれて、この蔵、亡き杜氏と現在遺志を継いで造りを継承している黒瀬杜氏ほかの人々への思いをあらたにするのだ。

そしてほかでもない薩摩の国への誇りを、この焼酎がシンボルする芋焼酎の造り手さんたちを通してつよく思うのである。

ラベルに打たれた番号は367。かつて武蔵藤沢の南星(ナボシ)屋酒店で店主の福島さんと万膳さんの蔵のことを話ながら分けて戴いたことを思い出す。この酒は酒であることを超えて私の座右にありかつ輝きを失うことはない。 合掌。


下の写真は裏ラベル。麹米は岩手県産ひとめぼれ減農薬米、芋は鹿屋産黄金千貫、麹菌は秋田今野吟醸黄麹。水は霧島レッカ水。
そして杜氏は、故宿里利幸氏。

(c)hiken@2008.8