本格焼酎ひとりごと 
いわゆる、<オトナの>雑誌雑燗  平成14年11月10日


雑誌を読むのが好きだ。丹念に読み込むことも、記事によってはざっと読み飛ばすこともあるけれど、なるべく軽めの文章を気持ちの赴くままに読んでゆくのがいい。この楽しみは休日のひる酒(焼酎)と一緒でこたえられない。ただ、いつも読み捨ててばかりで、さすがに申し訳ないと思い、今週読んだ雑誌をメモしてみた。焼酎がらみの感想が多くなったのは、酒亭のコーナーということでご寛容ください。

「家の光」(JAグループ家の光協会/980円)12月号
特集〜慶びのおせち
P50〜55「奄美からはばたいて〜元ちとせ」

昨年1/24に東京で行われた「かごしまの夕べ」。
テーマは奄美大島の黒糖だった(と、思う)。入場と同時に意地汚く黒糖、芋と焼酎のグラスを手放さずに会場内をうろうろしていた。
やがて、ステージで三味線を弾きながら島唄を歌い始めた絣姿の女性がいた。そのときは失礼ながら年齢不詳、たぶん熟年にちかいお年かと思えたほど落ち着いた唄者ぶりだった。透明感があり、空の青に溶けてゆくような伸びのある声を持つその唄い手が、翌月、「ワダツミの木」でブレイクした元ちとせだった。勿論、そのときは知らなかった。22歳ということもあとで知りました。
ところで、元ちとせは、黒糖焼酎は好きなのかな?


「地上」(JAグループ家の光協会/590円)12月号
特集〜農薬使用は適正・安全に

今号では、「アグリクエスト」コーナーに面白い記事があった。「ファストフード定着で深刻化する肥満〜EU肥満サミットレポートが警告」
ヨーロッパ各国で、肥満が問題視されているらしい。「ファストフード」や「ジャンクフード」の消費急増によって、イギリスでは靴ひもを結べないほどの超肥満者比率が倍増。フランスでは子供の肥満率が80年代に比較すると3倍に増えたという。グルメもなにもあったものではない。肥満と同時に味音痴を育て、糖尿病、心臓疾患、ガンなどの健康破壊にも直結してしまう。これはEUの報告だけれども、わが国でもまったく同じではないだろうか?
学校帰りのジャンクフード類の買い食い、自宅ではくだらないバラエティ番組かゲーム三昧。高カロリー、運動不足、そして「本をよまない」子供たち。文部官僚の売国的陰謀「ゆとり」教育による学力の低下。行く末は知れている。
大人の世界でも同じだ。中国野菜の高濃度に汚染された現実はかなり知られてきたが、これが加工されるともう生活者にはわからない。酒でもそうだ。「ピュアで、粋な」甲類焼酎には毒も薬もない(ホントになんにもない)が、これでカクテルを作るバーテンが、知らずに汚染果実から搾取した果汁を混ぜていたらどうだろう。もう生活者には知り得ない領域になってしまう。造り手の顔が見えるというのは安心が見えると言うことでもある。焼酎乙類の造り手さん側からの情報発信もごく普通のことになってきた。本意ではないが外語でいうと、アカウンタビリティ(説明責任)と言う点においては甲類焼酎のカラメル着色飲料などとは比較にならない。

「ARIgATT」(イマジカパブリッシング/680円)V0L.15
特集〜ニュージャパネスクへの誘い


人・街・食のスタイルマガジンとサブタイトルにある雑誌。この号では、いま、日本でもっともアブナイ魅力に満ちている街、歌舞伎町の中華レストランを紹介している。
案内人がいい。「歌舞伎町案内人」(角川書店)の著者、李小牧(秘剣酎※りー・しゃお、むぅ)がガイド役だ。
ヤクザとも刑事ともおそらくは蛇頭ともこの魔都をメディアにしてつき合いながら、生きている男だ。
紹介している店も魅力的だが、この案内人のほうが興味深い。第一に目がいい。単純な色ではなく複雑に深く交錯した光りを帯びている。オフセット印刷のインキをとおしてすら、その目に沈潜する緊く張った意志と、光彩に浮かぶ期待や諧謔が見て取れる。そういえば、区役所通りやゴールデン街にもご無沙汰しているなあ。歌舞伎町には黒ぢょかで焼酎を出す店がある。といっても、前夜から割水したものを云々、というような店ではない。薬缶にいれて直火で燗つけした焼酎を、どばどばっと黒ぢょかに移して供するだけなのだが、それがまたいい雰囲気を出している店なのだ。なんという店だったか、二度ほど行ったのだが思い出せぬ。わが飲酎健忘症もいよいよ末期になってきた。

「日経おとなのOFF」(日経ホーム出版/680円)12月号
特集〜冬の絶品レストラン


この手の「おとなマガジン」で読むに耐えるのは「サライ」くらいではないだろうか、と思っていた。まあ、そのとおりで、初めて目を通したこの雑誌、表紙のモデル「伊東美咲」が可愛いかったくらい。記事中には見るべきものがなかった。おきまりの「宿(和式旅館、リゾートホテル)」そして「(リッチな)レストラン」「(休日のカジュアル)ファッション」・・・テーマはまだいいがそれをどうメッセージとして料理するかが編集だろうと思うのだが・・・。素材をそのまま取材者に持ってこさせ(これがまた、ライターの文章とも思えないレベル)、タイアップ掲載しただけでは、まるでテーブルに(一流の)食材をドンと載せて客に供するようなものだ。「一流」を取材したというが、残念ながらスノッブの変形で終わっている。このビークルがこのままの編集コンセプトであるかぎり、焼酎をテーマに取り上げないで欲しいなあ。
「東京人」(都市出版/900円)12月号
特集〜寺見物

レトロ系おやじ雑誌。読者はオヤジだけでもなさそうだけれど、この雑誌はけっこう気にいっている。同潤会アパート(何回も特集している)、お江戸発見、芸者さん、といったテーマが記憶にあるが、次回は文士の食べ歩きだというから、だいたいこの雑誌の性格がわかるだろう。今号では墨堤をうろつく絵図作家、松本哉(はじめ)の谷中レポート、みうらじゅん(変な漫画家)&はな(日曜美術館の司会をやっている少々変わった女性モデル)の東京見仏デート、そして居酒屋大王の太田和彦「東京酒肴繁盛記」は神田の赤津加を取材。このへんが良かった。文章が(というより、書き手が)いい。パブリッシングに必要な要件って?と「日経おとなの・・・」と比較して考えてしまった。この雑誌とは別だが、居酒屋大王氏の本は面白い(ほとんど立ち読みだけど)。清酒が多いのだが、焼酎をテーマにした鹿児島の居酒屋取材もいい。なんというタイトルの文庫本だったか、例の名山堀(居酒屋「鷹」が所在する飲酎文化記念エリア)が登場するエッセイもあった。

「サライ」(小学館/450円)11/21号
特集〜年賀状工夫集 /「本格焼酎」自慢の酒亭


「本格焼酎」を取り上げるビークルとしてはかなり後発だけれど、さすがに「ブームの」アイテムを追うようなトーンではなかった。トップの3ページで本格焼酎の解説を農大の吉澤教授がおさえ、そのあとの14ページを「酒亭」の紹介に当てている。お店紹介で登場する酒は、球磨、壱岐、宮崎、鹿児島などまんべんなく、米、麦、芋、黒糖などそれぞれに登場。田崎さんの魂麹まで出ていた。お店のご主人や女将さんが、どんな姿勢で焼酎を取り扱っているかが伺える内容だった。
12軒の酒亭が紹介されていた。うち6軒は東京。それにしても、都会の店は飲み代が高いなあ。とくにわが仕事場近く、麻布、六本木あたりの店では、一杯が1000円近くもする焼酎がおおい。1000円以上のものもある。一杯が一合ならともかく、なかには45ミリリットルというのまである。ほとんど試飲の量ではないか。(名山堀の、何杯飲んでも300円とか、一杯が100円とかが別世界のようだ)
それはともあれ、この雑誌、紙のテカリがすくなく、文字も大きい。読みやすい。小生のごとき目の弱った爺いにはとてもいい。

先週一週間、ほかに読んだ雑誌は、SAPIO、週刊文春、TOKYO一週間、ザッピイ、九州マーケティング・アイズ、ビッグコミックオリジナルくらいか。こうやって書き出してみると、なんというか酎意散漫な性格を描き出しているような気がして我ながら嬉しい。
仕事場の同僚に聞いてみた。

「今週読んだ本、ね。う〜んっと、週刊朝日でしょ。それにダイヤモンド、そうそう、アサ芸と和楽もボクには欠かせないネ」
「週刊金曜日(誤植にあらず)、ダ・カーポそれから週刊アスキーかな」
どいつもこいつも注意散漫タイプだ。これだから団塊の世代直下のオヤジは軽く見られるのだと、こんどは若いのをつかまえて同じ質問を投げた。
「え?なんですか。本はよまないんですけど。え?雑誌ですかぁ。そうね〜、日刊ゲンダイを拾って読んだくらいかな」

・・・そうかい(-ー;)。

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