焼酎寸言

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大和桜
大和桜酒造  鹿児島県いちき串木野市湊町3-125 

 大阪の「酒商なかたに」の店主、中谷信治氏は、大分藤居醸造(年間50石!の蔵)の「自然麦」や鹿児島国分酒造の「いも麹 芋」宮崎川越酒造の「川越」など、こだわって造りを続ける蔵元さんとの顔の見える関係を大事にして、商品を扱っている。そのホームページで「・・・また、私のような若輩の情熱に大切な逸品をお分けして頂いている<お蔵さん>に大変感謝いたします」と中谷さんが語っているのが、その姿勢をあらわしていて嬉しくなる。
 いま中谷さんが力を入れていると言うのが、この「大和桜」だ。カメ壷仕込み。芋焼酎25度。

 まず生でいただいた。不思議なことに開栓したとたんに広がる芳香がおとなしい。芋香が抑制されているというより発酵や蒸留工程・濾過などでの工夫、また熟成が丁寧といったほうがいいのだろうか。刺激もアルコールの苦みも綺麗に整理され、「涼やかなあじわい」とカミさんが言ったとおりの印象を受けた。
 お湯割湯煎していただいた。キレ・コクは確固として感じられる。飲みやすい。
 骨格のしっかりしたボディのある酒。で、ありながら、反面飲みやすい風味に仕上がっている。新酒の粗さに感じる芋焼酎らしさを好む人には物足りない味と言えるかもしれない。だが、それとは違ったベクトルの、安定したうま味を味わえる酒だと思う。
毎晩のダイヤメ(晩酌)にいただくにはいい酒だ。普段身近に置いておきたい焼酎。

 たとえば、同じ市来町の白石酒造が造る「紅椿」と飲みくらべてみる。この酒は、大和桜と同じく一次二次ともカメ壺仕込みの伝統手法で丁寧に造られた作品だが、「紅椿」は、黒麹仕込み特有のキレ、コクを感じながらも、やや激しい主張感に、飲むほうの背もつい伸びてしまう。同じ芋焼酎でも穏やかな「大和桜」とはすこし違う。ここまでの「多様さ」があるか、という感を深くする。

大和桜をひとことで言うならば、
「しっかりした味わいを持ち、てらいなく、深く、厚く、日常かたわらに置いて、安心して飲める酒」
 飲む人を顧客として長く確保し、ファンとして育ててゆくことができる焼酎だとおもう。

 

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