焼酎寸言

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大和桜ヒカリ
大和桜酒造  鹿児島県いちき串木野市湊町3-125      
report 2010/8/26 
焼酎の熟成の「狙い」には様々あるだろう。
大和桜酒造の若き当主、五代目鉄幹氏が丹精した芋焼酎、一年カメ熟成。

麹米にコシヒカリ、ヒノヒカリを使用。銘柄名の由来だ。麹は伝統の白麹。
このヤマトザクラヒカリは新酒にある沸き立つような香りが沈潜している代わりに、「重厚な」といいたいほどのボディが感じられる。
カメによる熟成は、カメの持つクセが程度は違うとしても必ず酒に映る。好き嫌いは別れる所だ。

この酒は今年(2010)の夏、鹿児島市内長田町にある「谷元食料品店」で購入したもの。代表の谷元鉄郎氏はワインにも造形の深い方である。店頭ですこし話をしているうちに、大和桜酒造の五代目とは高校の同窓だと知った。
鉄幹と鉄郎、さても薩摩隼人らしい名のふたりの友情が、店頭でこの酒を語る谷元さんの熱気に現れていたと思うのは小生の考えすぎだろうか。

■中身は、薩摩の魂
パッケージデザインがいい。
「神々しい」ほどの白無垢和紙でつつまれている。さりげない墨文字で「ヤマトザクラヒカリ」と書かれた札が上部に貼ってある。なんとなく洋風趣味を感じさせるデザイン。
だが、そのパッケージを脱ぎ捨てると、突然に「薩摩の魂」風になった。
だいいち、ラベルが「前掛け」である。
前掛けの紐(後ろ側)には丸に十の字、つまり島津氏のロゴマーク、もとい、紋章が記してある。
和魂洋才といった風情のこの酒、実はクセものと気がつく迄に時間はかからなかった。

■飲んでみた
香りの立ち上がりは控えめである。
一年の熟成が香りを焼酎に閉じ込めたかのようだ。レギュラーの「大和桜」の豊かなそして柔らかい芋香はさほどに感じられない代わりに、舌に乗せたとたんにまとわりつくような甘さがやってきた。
濃い!深い!波長の長い粘度の高い波に揺られるような味わい。反面、のどごしはスムーズ。アルコールの辛みが味わいの残響の最後の方で響いた。クセものである。好きな味わいである。
水割りにしてみた。優しさが強調されるがボディの豊かさは揺るがない。数日くらい水で馴染ませるととてもいい感じになりそうだ。

好き嫌いはわかれる味わいかもしれない。しかしこの揺るぎのない酒を出してくる造り手さんの表情がピュアな透明瓶の向こうに見えるような気がする。
「どうですか!よかしょちゅごわんそが!」
小生の答えは決まっている。
「うんまか!こいはよかそつごわんど。」
いつかはこの酒を産み出す蔵に行ってみたいと、そう思わせてくれる酒だった。


 
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(c)hiken@2010.8.26