焼酎寸言

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  揺 籃  
............. .本坊酒造屋久島工場        鹿児島県熊毛郡屋久町安房2384番地 ik (report 17.9.25)

なつかしいところでは「南海黒潮」や「屋久の大自然林」の濃醇な味わいの芋焼酎を思い出す。そんな酒を造る蔵である。自然換気のもと麹を手造りする蔵である。
その蔵からたっぷり時間をかけて練り上げた酒が出た。それも「麦焼酎」である。原料の麦は鹿児島県産の「ニシノチカラ」。それを50%精白したもの。
手造り黒麹仕込み。その原酒は屋久島の太忠岳山麓のトンネルの中で素焼きの甕の中で熟成の時間を過ごしたという。そこまでこだわった麦とはいったいどんなものかと埼玉県入間市武蔵藤沢の「南星(ナボシ)屋」さんで対面したのだった。(南星屋酒店さんについては「ひとりごと」に書いた)
対面して、即、乾杯もとい完敗。ただものでない味わいには本坊さんの自信がこもっているのだろう。ふと「屋久の碧玉」を連想したがすこし違う。さらに味わいの深さ、コク、余韻の長く素晴らしいこと・・・秀逸な酒である。


「揺籃」には仮名が「ようらん」とふってある。しかし、むしろ「ゆりかご」と読ませたいほど、骨太に練れた味わいの酒だ。全国で8軒の酒屋さんで少量を扱っていると聞いた。
グラスに注ぐと、みごとに白濁している。
裏ラベルには「濾過を抑えている」とあるが、これはほとんど無濾過といっていいのではないか。
上質のうま味がその白濁する液体の中を浮遊している。そんな印象を実感するほどの色合い、そして味わいへの期待。

■飲んでみた
グラスを持っただけで香りが立ち上がる。ストレートで口に含む。非常にまるい。エッジのひとつも感じられない。それが第一印象。そしてすぐさま困惑がやってきた。
複雑に構成されたこの味、たしかにどこかで体験したことがある。
濃厚な香味を噛み締めていくうちにそれがわかった。いつぞや北京の夏の終わりに味わった「木の実」の店先だ。様々な味わいを次から次へと試食したときに口の中で錯綜し和合しまとまっていったあの味わいである。
やがてその多様な味わいが、ローストした麦の深い香ばしさに収斂して余韻となった。
この酒、ロックでうまい。
ロックの宿命といえようか、あるいは持ち味と言っていいかわからないが時間と共に希釈される濃度がすこしも味わいに遷らないのである。ストレートで感じた味わいの印象はロックで飲みきるまでついに変わることはなかった。
この「揺籃」、個人的にはまずストレートで、つぎに氷を浮かべてよく馴染ませていただきたい。うまい酒である。

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