焼酎寸言

「酒亭」入り口
「ひるね蔵」ホーム
掲示板
蔵・焼酎リスト
焼酎寸言目次

斬心明鏡 
.....佐多宗二商店      鹿児島県揖宿郡頴娃町別府4910番地 0993-38-1121

「ひるね蔵酒亭」の掲示板は、無料レンタルのものを借りている。ログも残していないので、焼酎の先達の方々をはじめ、様々なお客様の貴重な書き込みを、時間と記憶の彼方に流出させ続けているのが我ながら情けない。
まあ、アナログおやじの限界というべきか。ひるね蔵はCGIを許可しているプロバイダーのサーバーに開設しているのに、それを活用できないのが理由なのだが、どなたかこの辺のことをご教示いただけないだろうか。なるべく平易なワーディングで(^^;)
この「掲示板」には薩摩言葉での書き込みが多く、県外人の当惑と顰蹙をかっているのも、なかなか楽しくてよい。
先日、球磨の哲人SASANABA翁から、「薩摩弁の書き込み、よかたい、よかたい!」的な書き込みを戴いた。感謝の極みである。
掲示板で方言のことが話題になった最後に、翁がこのようなことを仰った。球磨の哲人は、さすが武の国、肥後の鉄人でもあった。

(秘剣)
>薩摩の慣用句で
たっちきせというのがあります。「太刀が来る前に為せ」→「敵の刀が襲ってくる前に攻撃せよ」転じて、「さっさとやりなさい」の意。

(SASANABA翁)
司馬「街道をゆく」シリーズのうち「肥薩のみち」に、同じく「すぐ」の表現として、「たちンこんめ(太刀が来る前に)」と「いっこんめ(一騎来る前に)」が薩摩らしい「剣電弾雨の逼迫感」を伴う表現として挙げられていますね。太刀を振り抜いている「斬心明鏡」のラベルに体現されているのでしょうか。

(秘剣)
「斬心明鏡」はネーミングもラベル絵も薩摩出身の俳優榎本孝明さんによるものですね。榎本さんはじげん流の門弟と聞きました(私の学んだ薬丸自顕流とは異なる流派である、東郷示現流かと)。ラベル絵では武士が襲いかかる妖気を、抜刀の技で一刀両断にしていますが、気張りのあるよい絵だと思います。紅薩摩(からいも)を贅沢に使用した焼酎です。佐多宗二商店さんの酒への考え方はアイデアに富み、チャレンジの姿勢の位が高邁です。なんといっても、不二才という焼酎にみる(味わう?)杜氏からの剛球一直線などがここちよく、蔵子として汗を流す若い人に熊本出身の好男子がいるのも嬉しいです。
■呑んでみた
まず生でいただいた。抜刀した侍のラベルとはイメージが違う。なんとも豊かなふくらみのある味わいだ。芋香に不足なかりしか、と一瞬思わせたが、やがてしたたかな芋が官能の底から湧いて出てきた。不二才に比較してやや華やかな広がりをみせてくれる。
生のママごいごいいきたいところだが、それではアル酎のそしりを受けそうだ。荒木陶芸の黒ぢょかで燗をつけた(南日本新聞の小野記者が先日取材に見えたときに、土産としてくださったもの ^^)。水との比率は5割である。
ちょっと熱めのをいただく。香りが濃厚に鼻腔を刺激する。もちろん、ここちよく、期待を満載した香りだ。生の時に感じたふくよかさがさらに膨張して層を重ねるように厚くなっている。正面に立ちあがる華やかさが奏でるうま味の響きに、飲んべえは剣を抜きあわすことなく、勝負有り。杜氏の勝ち^^;

■余白・・・(佐多宗二商店の薩摩の薩摩、です)
(左)不二才の勇姿。
(下)カンゴシナ


■2001鹿児島酎行紀より
次に「不二才」の原酒をいただく。
不二才の担当である宮崎さんが「さあ、どうぞ」とカップを差し出してくれる。立ち上がる香りの馥郁たることには言いようもない。
剛直なのにまろやか。
骨太の優しさと言っていい。
薩摩隼人を酒に写すとまさにこうなるのだろう。

■余白・・・掲示板でのやりとりの前段です。
SASANABA
>秘剣さん、今晩は。
この掲示板での鹿児島弁でのやり取り、九州外の常連の方には解読がたいへんかと思いますが、わたしは好きなんですよ。実に含蓄があって、ある方からいただいた「方言は地方文化のお母さん」という言葉そのままです。我が郷里の方言の文法と比較照合し、逆照射して情報を増やしていくのに重宝してます。
たとえば:
 
>のんがなっごっなったたぶっちゃんとのんかたをすっとが
 >たのしんごわんど(^-^)ぢゃっどん、おまんさあげえにかい
 >たごっきゅは拝顔できんごっ
これを、鹿児島弁特有の音便化をを考慮しながらいったん古語混じりの原文に戻して:
「飲むが成るごとくなったたぶっちゃんと飲み方をするのが楽しみでございます、であるけれども、おまえさまの方に書いたごとく今日は拝顔できないごとく」
さらに現代文に直して:
「飲めるようになったたぶっちゃんと酒飲みをするのが楽しみです。けれども、あなたの方に書いたように今日は拝顔できないようで」
「のんかた」とか「おまんさげえ」とか古語の要素が強く、球磨方言と関連をもつ言葉を実見するのは勉強になります。
秘剣
>SASANABAさん
方言には古語の要素が多いというのは、翁のおっしゃるとおりですね。
「あいがともしゃげもした」は「有り難く-申し上げ-ました」でしょうし、「ごぶれさあでございもした」は「ご無礼様-でござり申した」。
以前、手控えに書いたのですが、薩摩の慣用句で「たっちきせ」というのがあります。「太刀が来る前に為せ」→「敵の刀が襲ってくる前に攻撃せよ」転じて、「さっさとやりなさい」の意。「部屋がちらかっちょいが、かたずけんか。ほら、たっちきせ」という風に使います。
薩摩の特有の音韻変化がわかりにくくしているのかもしれませんが、お年寄りがゆっくりと土地のことばで会話する温かな風景も次第に時代の溶暗に溶けてゆくのかと残念です。

 

「酒亭」入り口
「ひるね蔵」ホーム
掲示板
蔵・焼酎リスト
焼酎寸言目次

メールはこちらまでお願いいたします。
(c)hiken@2000.9