ロンドンのたくましい、シナ人のおばさん
うらやましい、強い心臓
 心臓が弱い、といっても狭心症や弁膜症という訳ではない。毛唐、いや外国人たちのようにディベート向きの根性に乏しいということだ。古いヤツだとお思いでしょうが、(古いなあ、こりゃ)奥ゆかしさとか控えめとか聞き上手とかそういう本邦の民族文化的美風を小生は大事にするほうなのだ。争いごとや議論、自己主張といったものはホントに苦手なんである。チクチクと相手を言い込めるなどということはとてもできない。それくらいなら、うちに帰って焼酎でも飲んでいたほうがましというものだ。
 

と、そんなことを書こうとしたのではなかった。歳をとるとくどくていけない。

 ロンドンの3日目の夕方、ハロッズ百貨店にお茶を買いに行った。行って食料品売場を見渡すと、日本橋三越がハロッズのレプリカ(というも恥ずかしいが)ということがよくわかった。食料品売場の紅茶を扱っている一角は壮観だ。さすが、紅茶の国。焼酎の国のひとは感動した。従業員もしつけ教育がしっかりしている。

ブレンドして貰った紅茶の包みをかかえて宵闇の中を街へでた。中華屋がならぶ一角へ向かう。

 麺屋の看板のある一軒の飯店にあがった。無愛想で乱暴でモノを投げてよこす店員のいる(つまり中華スタンダードの)店だった。運ばれた品は、どれも独特の味と風味だ。日本だったら遠慮したい味なのだが、なぜか旨いと感じた。場所がそうさせたのかもしれない。となりの中国人のおばさん二人連れが、こっちをチラチラ見ている。ひそひそ言っているのが聞こえた。「きっと日本人よ」

 中国語で「そう、日本人ですぜ」といったら、驚いた顔をして、「いつ来たんだ」とか、おいしいかと聞く。

 旨い、とほめると、そのおばさんは、ここはまずいねと言い返した。驚いたことに、ウエイターを呼んで強い口調でなにやら抗議している。聞くと、まずいから交換しろといったのよというではないか。おばさん、もうドンブリの半分は食ってしまってるぞ!そのドンブリを、うらめしそうにウエイターが運んで行ってしばらくしたらほんとに別の料理がやってきた。信じられない。日本人もこの強い心臓が必要だろうな。

 寒風のなかをケンジントンの宿まで帰った。近くのコンビニで缶麦酒とミネラルウオーターを買い(2ポンドと少し、400円位か?)部屋で焼酎(持参していた(^^;))のお湯割りを作ってやっと人心地がついた。さすがにお茶の国だ。お湯を沸かすセットが完備しているので、焼酎の国のひとは助かった。

テレビニュースがパディントン駅の死傷事故を伝えている。宿のすぐ近くだ。

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