初夏の猿島に旬のアジを釣る


「あのさー、リールくんない?あと、竿も適当にみつくろって、ちょーだいよ」と、信じられないようなことをほざいたのは、わが仕事場の釣りオヤジ。
セリフにことかいて、「着払いでいいから、ね」と送料だけは自分が持つよと押しつけがましく言った。普段からおかしいとは思っていたが、とうとう・・・。季節の変わり目がアブナイってのは、ほんとうだ。

半年くらい釣りに行っていないからといって、釣りを止めたのなら道具をくれ、なんて言われてたまるかい!たった半年だ。だが、されど半年でもある。以前、月に2〜3回海に行っていたのが、いまは幻のようにおぼろな記憶の襞に埋もれてしまった。
いや、いかん!枯れても腐っても、「ひるね蔵」の看板は、釣りであるぞ
とりあえずそう思ってはいる。多分そのはずだ。焼酎の薫りにまぎれてはいるが、コアは釣りなのだ。
「よし、釣りに行こう!」そう決めてジープ仲間のN氏に電話した。
「どう、旬のアジを釣りにいかない?」
打てば響くように「いくいくいく!」

「交代でクルマを運転すれば楽だし、高速代も半分づつですむし・・・」
「おー、いいねえ。道具とかなーんも持ってないけれど、いいかい?」
「ダイジョーブ。なんでも貸してくれるからね。ただ、長靴は自分で持っていった方がいいな。あと、クーラーはデカイのが必要かもよ。なんたって、旬のアジ、今釣れているようだし・・・」
そうトドメをおすと、「よーし、釣ったるでー」とN氏が嬉しそうに笑った。

よーし、これでわが故障頻発車輌で出かけなくてすむし、多分N氏のクルマは会社のだからガソリン代も要らないはずだし、N氏は小生の運転をまったく信用してないから、運転は自分がするといって聞かないだろうし・・・しめしめ。

当日の朝、3時過ぎに起床。わが家の前にN氏が4時に来る約束である。だが、3時半にはもうエンジンの音が・・・。ちょっと気がはいりすぎちゃう?そそくさと支度して一路横須賀へ。八王子バイパスを抜け、ルート16から横横道路にはいり、大津の船宿に到着したのは6時前。出船まで1時間半もある。

受付を済ませて支度をしていると、アベックの(古いな〜)乗った四輪駆動車がやってきた。なにげなく運転席を見た。海の男っていう感じの、陽に焼けた若い男性がハンドルを握っている。日焼けしていても、サーファーのそれではないことくらいは、小生にはすぐに分かる。同類だ。釣りの焼けだ。
んー、シブイな。ちょっと太めだが、なぜかシブイ。そのいいカンジのドライバーの隣には、瞠目するほどのマブイ(古りーなー)お姐さんが座っているではないか!その姐さんが、ドライバーに目で合図すると、「ア・ウン」の呼吸でシブイ男性はハンドルを船宿の駐車場に向けてきったのだ。「お、あれが、花板さんと潮女さんか!」
小生、取り出したばかりのビールをそっとクーラーに仕舞った。初対面の方にビール片手でお会いするのはさすがに気が引ける。人間、礼儀を忘れてはならぬ。
まあ、その30分後には船着き場で、ごいごい飲んでいたのだが。

花板さんはまだ若さを表情や言葉に留めているナイスな(古いね・・・)青年だった。その若若しさは、頭髪にも立ち居振る舞いにもあらわれて輝いていた。いまだ鮮度を保っている青物というところか。ま、お腹の回りには多少かげりが見えていたが。・・・嘘(^^;)

潮女さんはきっちりと沖釣りファッションに身を包んでいた。その隙のない出で立ちには、船宿のオヤジが口を開けて呆然としていたくらいだ。もっとも、あとで見たときもこのオヤジ、口を開けて呆然としていたから、その因果についてはわからないが。
「ね、姐さん、あんたシロウトぢゃないね」と船頭が言った。
どこの組のモンかね、とは聞かなかった。潮女さんのおまつりを甲斐甲斐しく処理する花板さんが、代貸か若衆頭といった風情を漂わせていたからだろうか。それとも、電動リールを付けたアジ竿で、気合いもろとも2色(50m)ほどビシを遠投していたからだろうか。おそるべし、磯・堤防の女帝・・・。(大嘘)

閑話休題。

午前7時半、第十六いなの丸は静かに岸を離れた。釣り場はすぐ目の前、猿島回りである。
期待を込めて第一投。潮がけっこう早い。ビシは100号。走水にくらべると軽い。釣り場の違いだろうか。海底まで30メートル。セオリーどおり、着底してすばやく2メートル巻き、コマセを振って、そのまま竿先を船縁の高さまで上げる。これで、タナは海底から3メートルということになる。手持ちでちょいと待っていると、竿先に動きが。そして、すぐに手元に伝わってきたのは、クンクンというアジ特有のアタリだ。ゆっくりと巻く。楽しみながら巻く。たったの30メートルだ、手持ちで巻いてもちっとも苦にならない。天気は最高。初夏の日本晴れ。波は穏やかで風は爽やかに海を渡って過ぎて行く。アジがバレても構わないなと寛容な気持ちになっている。釣果より潮風。そうだ、そうでなくては!
最初のアジは船中第一号だったらしい。バレてもいいかとの余裕がよかったのだろう、無事にとりこんだのは22cmの真アジ。金色に輝く東京湾のアジだ。さて、幸先がいいぞと気を入れてコマセをつめ、ビシを海に放り込んだ。「バレても、いいぞ」という神をおそれぬコトアゲがわるかったのだろうか、それからは延々と、アジをかけてはバラす迷宮魔屈の連続となった。なんだ、こりゃあ。釣りはまだ2回目のN氏もだいぶ慣れてきて次々とアジを取り込んでいる。船縁でバラす人などほとんどいない。なぜだ!とどこかの百貨店の社長のような叫びとともに本日12匹目のアジをバラして納竿となった。
まあ、釣果はそれほどではなかったが、そこそこは釣れたし、なによりとてもカンジのいい釣り仲間とご一緒させていただいて、楽しい釣りの一日となった。

アジは刺身と、軽く酢で締めたものを造りに盛っていただいた。メバルは煮付け。ホクホクとした白身をお湯割りの島の焼酎でいただく。もう最高だ。半年ぶりの釣行にしては、手抜きの記録となったが、それは花板さん、潮女さんご両人がすばやくレポートをアップされたからである。「船縁バラし」や「リヤカー車夫となる」や「朝から、ビール」や「割水焼酎らっぱのみ」や「黒の15」などについての詳細な記録は、下のリンクからご両人のレポートをご覧ください。

潮女さんのページ「まったり潮女のページ
花板さんのページ「本郷台駅前告知板


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