相模湾のキス 

パールピンクのキスに会いたい! 

                 

 夏、風に僅かに秋の香りが混じる頃、なぜかキス釣りに出かけたくなる。パールピンクの魚体への憧憬と、ふくふくとした上品な味わいのキスのテンプラへの食欲が、なんの脈絡も無しに次々に浮かんでくる。

 妄想していてもしかたがないので、さっそく土曜日の早朝、茅ヶ崎港のちがさき丸にでかけていった。

 右舷トモ寄りに釣り座をととのえる。この日、潮は大潮。風も微かにうららかな日よりである。米山寿満治船長の操船で、第十ちがさき丸は定刻7時に出船。ポイントは港のすぐ前だ。  

 江戸時代にはキスの前(たか)釣りといったように、陸からすぐ目の前の釣りである。竿は1.5mのキス竿。リールには0.8号の新素材を卷き、小型の遊動テンビンに、細いワイヤーを通して自作したハリス止めを直結。それに自作の仕掛けをつける。オモリは15号。

 手早く投入した左隣りの人が「お、乗ったっ」とリールを巻き始めた。相模原から来たという国井さんが上げたのは、18cmの本命。国井さんは、その後もホウボウを上げ、ご満悦だった。小生も負けてはいられない。3cmほどに切ったジャリメを、垂らしが真っ直ぐになるようにハリに付け、投入。着底と同時に道糸のフケをとり、静かにサビく。この時、目線は竿の先端。海底の様子も、魚のアタリも竿先で見る、というより、感じると言ったほうがいいだろうか。キス釣りは、手元ではなく、竿先の動きでアタリをとるのがコツだ。

 竿先がスッと引き込まれた。少し送って、軽くあわせる。手元にくくっ、くくっという手応えが。冷たい海の底から秋を告げるキスの引きが伝わってきた。クラシックなインスプールのリール音を楽しみながら巻く。下のハリに食ってきたのは、20cmを少し超える良型。その後、平塚沖に移動してぽつぽつと連れ続いた。この日は前日までの風で底荒れが残ったためか、キスが10から25。小生はキスを20ほど、メゴチは大ぶりのものを選んで10ばかり。密かにねらったホウボウは残念ながら釣れずじまい。しかし、穏やかな海と涼しい微風を楽しめ、満足できる一日だった。

 釣果はフライでいただいた。ロックで呑む古酒「久耀」がとても美味しかった。翌朝、アツアツのご飯にのせて食べたメゴチの煮こごりは、たまらない旨さだった。で、今度は朝から「蔵の師魂」の栓が開いてしまったのは、懲りない飲兵衛釣り師の性だろうか。

◆問い合わせ◆

茅ヶ崎港 ちがさき丸 エ0467-86-1157

料金 7000円 

   氷100円 エサ(じゃりめ)1パック500円

出船 午前7時と8時

交通 八王子、橋本、厚木方面から、R129号線つきあたり。R146号線を左折、橋を渡って約2km。海側に看板あり。無料大駐車場。

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