夏休み、竹岡沖サバの入れ食い

1時間後にはフタが締まらなかった!


アジを釣ろうと船に乗ったら、思いがけず大サバの入れ食いに出会った。


釣り人なら、(キャッチ&リリース以外は認めないというご立派な方は除くが)クーラー満タン、もう早く揚がって帰ろう!というチャンスを味わいたいはずだ。以前にも書いたが、釣りに「今日」はないから、釣行するのはいつも入れ食いの「次の日」ということになる。ひどいときは、「前の日」のこともある。

きのうは、散発的な夏休みの4日目だった。仕事場の釣り仲間と3人で「子供連れアジ釣り」釣行にでかけた。船宿は、横須賀の新安浦港、西山釣り船店である。慢性的小遣い不足のおとっつあんにとって、女性、子供半額というのはなによりの魅力である。

平日ながら夏休み中と言うこともあって、西山丸は14人の釣り人(うち5人は子供)を乗せて定刻の7時30分に出船。南の風がやや強く吹いている。出船前に一瞬落ちてきた雨はもう止んでいたが、空を見上げると雲も暗く、速い。

港を出て、徐々に速度を上げた船は大型コンテナ船の列線の間隙を衝くように、本船航路を横断し、浦賀水道を千葉側へ向かって走る。船長は、竹岡沖に行くつもりのようだ。ここは水深が約20mと浅いし、小振りながらアジが釣れる。子供に船の釣りを体験させるにはちょうどいい場所だ。

「昨日はアジはポツポツつれてたよ」と船長。

「で、サバはでたかい?」と小生。うちのカミさんは〆サバマニアなのだ。初めての船釣りだとはしゃぐ娘に、おやつを食べている暇があったら、サバをつりなさいよと、言いつけたほどである。

しかし、船長のことばは虚しかった。「サバ?だめだね。ちっとも食わねえよ」

ポイントが決まり、西山丸はアンカーを下ろした。空はさっきまでの暗雲がウソのように晴れ上がり、日差しは次第に強くなってきた。

娘の道具は船宿で借りた中通しのビシ竿だ。中通しの竿は小生は嫌いなのだが、初心者には穂先がらみを気にしなくて良いだけ使いやすい。娘にコマセの詰め方や、赤タンの付け方を教え、記念すべき第一投。浅いのですぐに着底。潮が下げながらあまり動かないので、底から1.5m切ってコマセを撒き、ラークに竿を架けた。「竿先がクンクンと動いたら、ゆっくり巻くんだよ」そういって小生はオオドモの自分の釣り座に帰り、コマセを詰めて投入した。着底。タナをとる。小生の道具は、愛用のハリースペシャル1.6m+アブ7000Cだ。ラークに架けて、娘のほうをみた。な、なんと竿を抱えて踏ん張っているではないか。

「とーちゃん、クンクンじゃあなくて、グングンひいているよ!」娘が叫んだ。

強烈な引き込みと道糸の回転するような激しい動きは、間違いなくサバだ。竿を手に取ると、引きこみの強さで大サバと確信した。ラークに架けて、ギリギリ巻くように指示する。ハリスは自作の3号、ハリはムツ10号。よほどのショックがなければ、バレることはない。

ビシが水面に出た。タモの柄で道糸を引き寄せ、ビシカゴを手に取り、ハリスを掴む。サバが銀色に輝きながら激しく水面直下を走り回る。サバの頭が水面を割った。すかさずタモですくう。でかい!

後で量ったら44cmあったサバ第一号の鰓にナイフをいれ、バケツに。バタつきながら自分で血抜きをしてくれる。みるみるバケツが血の海になる。考えてみると、お店で買う「新鮮なサバ」はもちろん血抜きなぞしていないから、この大量の血を体内に溜めているわけだ。釣ってその場で締めた魚に勝る鮮度には、どんな高級料亭でもお目にかかれないわけである。

娘の大サバを取り込んでいる最中に、小生の竿も炸裂していた。3号ハリスにものを言わせて、どんどん巻く。タモに収まったのはこれも40cmオーバーの太った真サバだった。たまにゴマサバが混じるが、いずれも丸々と脂が乗って旨そうな大サバが次々に釣れ盛る。小さなサイズだが、真アジも揚がる。ほとんどベタ底だ。娘の仕掛けに一荷できたが、上のハリに20cmの真アジ、下ハリに40cmのサバだった。

沖あがりの1時間前には、すでにクーラーは満杯。ハリスを1.5号の一本バリ、ベタ底でアジ狙い一本に絞る。数匹のアジを追釣して、11時40分に船長が「仕舞い」をアナウンスしたときには、こころも、クーラーも満足で一杯だった。

サバはもちろん〆サバ。アジはお造りにした。酢飯を炊いてサバとアジを乗せ、ワサビ醤油でいただいた。椀は、贅沢におろした中落ちでとった出汁の味噌汁。焼き茄子が一品添えられて、まことに結構な夕食になった。

 酢飯に〆サバをのせて・・・

ちょっとした船酔いも経験した娘にとって、初めての船釣りは忘れがたい思い出になっただろう。近所のおすそ分けネットワークも久しぶりに機能したのはいうまでもない。

付録;〆サバへの道